炎症時に誘導されるサイトカインなどの炎症因子を抑制することによる歯髄炎治療法の開発に関する報告は多いが、いまだに不可逆的な炎症時には抜髄を選択しているのが現状である。Sema7A は歯髄組織において、炎症刺激によって明瞭な炎症性サイトカイン産生増加への関与を期待したが、十分な再現性を得ることができなかった。しかしながら、TNF-αによる石灰化抑制の解除傾向や、シグナル伝達経路関連タンパク発現など炎症増悪因子としての影響は示唆できる。Sema7Aによる炎症への関与は歯髄の炎症機構の新たな発見であり、今後の歯髄の炎症制御に関する新規治療法の開発研究につながる成果となった。
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