研究課題/領域番号 |
19K19034
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
菅野 真莉加 昭和大学, 歯学部, 助教 (40721220)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 酸化ストレス / 抗酸化 / 歯肉上皮 |
研究実績の概要 |
歯周病は歯周病原細菌による慢性炎症性疾患であり、歯周炎で認められる歯周ポケットは、歯肉上皮細胞の細胞間接着機構の破綻による細胞間断裂の結果、内縁上皮の潰瘍形成と深化拡大、さらに好中球の動員増に伴う炎症カスケードの進行によって組織破壊が起こることで形成される。自然免疫において重要な役割を果たしている好中球は、病原体を排除するために活性化すると感染防御のために種々の活性酸素種を供給するが、過剰な活性酸素は宿主障害をもたらす酸化ストレスとなる。実際、歯周炎で歯肉や唾液、血液中の活性酸素が増加することが示されている。 一方、転写因子Nrf2(NF-E2 related factor 2)は細胞の酸化ストレス耐性に関わることが知られている。非ストレス下の細胞ではNrf2は細胞質で分解されて核内に移行できないが、細胞が酸化ストレスなどに曝されるとNrf2の分解が阻害されて核内に移行し、各種炎症性サイトカイン産生を抑制する分子を発現して抗炎症および抗酸化効果に寄与する。このように、Nrf2が酸化ストレスを統一的に制御し抗炎症作用をもたらすことは過去の様々な研究で報告されているが、歯周組織において生体防御を最前線で担う歯肉上皮におけるNrf2の機能については十分に解明されていない。 そこで本研究では、酸化ストレス制御因子Nrf2が歯肉上皮細胞の細胞間接着装置に及ぼす影響を評価することとし、今年度は、ヒト歯肉上皮細胞株(Ca9-22 cell)および接合上皮細胞株を種々の濃度の過酸化水素(H2O2)で刺激し、酸化ストレスを誘導した。酸化ストレス誘導前後の核内Nrf2の移行量、各種細胞接着分子の発現量を評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
使用予定のKitが海外からの取り寄せのため納品が滞ることがあり、Nrf2の核内移行の評価が計画通り進まなかった。また、過酸化水素と抗酸化剤の濃度や刺激時間の最適化に時間を要し、再現性のあるデータが獲得できなかったため当初の計画からは遅れて進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
学会や研究会などの参加も含め、関連する研究の情報収集を推進することで、予備実験の時間を減少させる。また、網羅的な遺伝子発現解析は専門機関に委託し、個々の細胞接着関連遺伝子の解析に集中する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗が当初の計画よりも遅れたため、必要経費が抑えられて未使用額が生じた。次年度以降、研究推進方策に従って進捗具合が加速すると考え、当初の計画通りに使用する。
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