研究課題/領域番号 |
19K19035
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
栗谷 未来 昭和大学, 歯学部, 助教 (00826737)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 歯周病 / 炎症性骨破壊 / 破骨細胞 |
研究実績の概要 |
障害者は口腔清掃の重要性が理解できないことや四肢体幹障害などにより、自己での口腔管理が困難なため歯周病を発症しやすく、炎症性歯槽骨破壊のリスクが非常に高い。従って、物理的なプラークコントロールでなく、化学的に歯槽骨破壊を抑制する薬物療法の開発は重要課題の1つである。デノスマブは完全ヒト型IgG2モノクローナル抗体で、破骨細胞の分化、機能及び生存を制御する最も重要なサイトカインであるRANKLに特異的かつ高い親和性でヒトRANKLに結合することでRANKL/RANKのシグナル伝達を阻害し、破骨細胞による骨吸収を抑制する。本研究では、現在広く用いられている骨吸収抑制薬である抗RANKL抗体およびビスホスホネート(BP)製剤が、細菌感染に起因する炎症性骨破壊に及ぼす影響について解析し、効率的に局所での薬剤効果を高める方法を検討することとした。また、骨吸収抑制薬の効果的な投与のタイミングや、長期的な薬効の持続時間の検討なども検討する。 研究一年目は、炎症性骨破壊が生じた後に骨吸収抑制薬を投与した。以前の実験ではPost-treatment(発症後の治療)を想定した実験を行っておらず、歯周病のように炎症性骨破壊がすでに生じている環境でも骨吸収抑制薬が効果を示すのか検討した。8週齢雄性マウスの右側上顎第2臼歯に絹糸を結紮し、炎症性歯周病モデルを作成した。3週後、歯周病状態を確認し、抗マウスRANKL抗体(OYC1; 5mg/kg)を皮下投与した。1週間隔で麻酔下にてmicroCT撮影し、歯槽骨の回復程度を解析した。また、1週間隔でOYC1を4週連続投与した。その結果、1回投与では、破壊された歯槽骨の回復は見られなかった。4週連続投与でも、回復程度は軽度であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
8週齢雄性マウスの右側上顎第2臼歯に絹糸を結紮し、炎症性歯周病モデルを作成した。3週後、歯周病状態を確認し、抗マウスRANKL抗体(OYC1; 5mg/kg)を皮下投与した。1週間隔で麻酔下にてmicroCT撮影し、歯槽骨の回復程度を解析した。また、1週間隔でOYC1を4週連続投与した。その結果、1回投与では、破壊された歯槽骨の回復は見られなかった。4週連続投与でも、回復程度は軽度であった。当初、破壊された歯槽骨の回復は早い段階で回復すると予想したが、その回復程度は緩やかであり顕著ではなかったため、実験回数を増やす必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
抗RANKL抗体の投与量と投与期間を再度、設定し実験する予定である。また、microCTだけではなく、組織切片を作成し、歯周組織を細胞レベルで検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は研究費を効率的に使用したことにより残額が発生した。次年度繰越額は試薬と動物購入費に使用予定である。
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