研究課題/領域番号 |
19K19043
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
大桑 雄太 愛知学院大学, 歯学部, 歯学部研究員 (60828739)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 歯髄 / 再生 / マウス |
研究実績の概要 |
8020 運動の達成者は医療費が20%も低く、要介護率も低下することから、歯の延命は医療・福祉・経済の安定に繋がるという報告がある。そこで、どのような歯の根管においても歯髄を再生させる技術の開発が急務であると考えたのが始まりである。 そこで2019年度はマウスのrevitalizationモデルの作製にとりかかった。マイクロCTを用いた放射線学的解析およびヘマトキシリン・エオジン染色による組織学的解析の結果から根尖は10号のファイルで穿通させると、穿通後4週間経過しても根尖は閉鎖されていないことを報告した。 2020年度はこのrevitalizationモデルを用いてヒト歯髄細胞の移植を試みた。歯髄細胞はマウス臼歯一歯に対し5.0×104個を2ulの細胞懸濁液(無血清培地)で懸濁し根管内に挿入した後歯冠部をMTAセメントで封鎖した。移植後4週間経過観察をおこなった後、マイクロCTを用いた放射線学的解析およびヘマトキシリン・エオジン染色による組織学的解析をおこなった。その結果放射線学的解析からは根管内の不透過性が亢進されていることが分かり組織学的解析から根管内に結合組織様の組織が形成されていることがわかった。しかしここでいくつかの課題が見つかった。一つ目はMTAセメントが4週間経過する前に一部脱離し、内部が感染してしまうこと、二つ目は根管内に組織はできるが根尖側1/2のところまでは多く歯冠側までなかなか組織ができないこと、3つ目は歯髄細胞を移植し期待した結果である歯髄組織の再生ができていないことである。この見つかった課題を克服するため今年度さらなる細胞移植方法の検討をおこなう予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度からおこなった歯髄細胞移植で研究当初に想定していなかった課題が見つかり、その課題克服に時間を要しているため。
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今後の研究の推進方策 |
MTAセメントが4週間経過する前に一部脱離し、内部が感染してしまうこと、二つ目に根管内に組織はできるが根尖側1/2のところまでは多く歯冠側までなかなか組織ができないこと、3つ目に歯髄細胞を移植し期待した結果である歯髄組織の再生ができていないこと、以上の課題に対し対策をする必要があると考えている。MTAセメントの脱離に関しては2週間経過した時点で改めてMTAセメントで歯冠側の封鎖をおこなう。2つ目の課題に対しては、歯根の長さをあらかじめ調整したマウスの臼歯を背部皮下に移植し、どの程度の根管の長さまで根管内に組織が進入してくるか検討する。この二つの課題を検討しもう一度歯髄細胞をマウスの根管内に移植した際、根管内に歯髄が再生するか検討しようと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度に作製したrevitalizationモデルを用いてヒト歯髄細胞の移植をおこない組織切片作成を外部業者に委託することを考え研究資金を残していたが課題が見つかり、2020年度は組織切片の作成を外部業者に委託するに至らなかったため次年度へ研究資金を繰り越すこととした。次年度の科研費の使用計画は実験用のマウス購入、細胞移植を行うための細胞培養、実験器具購入に充てるとともに、組織切片の外部業者委託に大部分の費用をかける予定である。次年度の科研費の使用計画は実験用のマウス購入、細胞移植を行うための細胞培養、実験器具購入に充てるとともに、組織切片の外部業者委託に大部分の費用を充てる予定である。
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