2019年はマウスのrevitalizationモデルの作製にとりかかった。放射線学的解析および組織学的解析の結果から根尖は10号のファイルで 穿通させると、穿通後4週間経過しても根尖は閉鎖されていないことが分かった。ここから血流は確保できていることが示唆された。2020年はrevitalizationモデルを用いてヒト歯髄細胞の移植を試みた。放射線学的解析および組織学的解析の結果、根管内の不透過性が亢進されていることが分かり、さらに根管内に結合組織様の組織が形成されていることがわかった。2021年は細胞の安定供給を考え、移植に使用する細胞をマウスの歯髄細胞へ変更することとしたのでマウス歯髄細胞の解析をおこなった。KLF4を用いて分析した結果、ほとんどの細胞において均一なKLF4の発現を確認することができた。また、ビメンチンでも染色をおこなったところ、初代培養では、歯髄幹細胞が最大で80%の陽性率を示した。さらに広範囲のサイトケラチン抗体をもちいて上皮細胞の染色もおこなった。その結果、初代培養では約20%上皮細胞が混在していることを確認したが、1回目と3回目の継代後、上皮細胞の割合は3%未満という結果だった。2022年はマウスの下顎大臼歯の抜髄をおこない、新生児GFPマウスから採取した歯髄細胞を移植する実験をおこなった。その結果、移植した細胞は根管内にしっかり残っていることが確認され、また血管様構造を有する組織と無細胞の骨または象牙質に似た組織を確認することができた。さらにネスチン抗体とニューロフィラメント抗体も用いて、免疫組織化学染色をおこなったところ、ネスチンおよびニューロフィラメント抗体陽性細胞を確認することができた。この結果からDPCを根管内に移植することにより、歯髄に似た組織をつくれることが示唆された。
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