研究課題/領域番号 |
19K19052
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
宮井 久敬 岡山大学, 歯学部, 客員研究員 (80761155)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 有機ゲルマニウム / 口腔粘膜炎 / 活性酸素種 / 抗炎症作用 / 歯学 |
研究実績の概要 |
がん化学療法による口腔粘膜炎の原因には,口腔組織中の活性酸素種(Reactive oxgen species:ROS)が関与していることが分かっている.従って,口腔組織中のROSを低下させる治療法・治療薬が口腔粘膜炎の発症予防に有効であると期待できる.一方で有機ゲルマニウム(bis-β-carboxyethylgermanium sesquioxide:Ge-132)は日本で開発された半金属有機化合物であり,in vitro実験において細胞内のROSを減少させることが報告されている. 本研究の目的は,抗酸化物質であるGe-132に,口腔粘膜炎を予防する効果があるか否かを検討することである.今年度は、Ge-132による口腔粘膜への影響について検討した。 8週齢Wistar系雄性ラット20匹を,「単軟膏塗布」群と,「1%Ge-132含有軟膏塗布」群に分けた.実験1日目に50%酢酸を染み込ませた直径3mmろ紙をラット舌下面に30秒間貼付し,その後除去した.2日目から6日目の間は酢酸貼付部に軟膏塗布(単軟膏及び1%Ge-132含有軟膏)を1分間貼付した.実験終了後,全身麻酔下で安楽死させ,舌の摘出を行った.摘出した舌はホルマリン固定を行った後、組織切片を作製し、ヘマトキシリン・エオジン染色による評価を行った。単軟膏塗布群では10匹中4匹に,1%Ge-132含有軟膏塗布群には10匹中2匹に炎症性細胞浸潤や潰瘍の形成が認められた.このことからGe-132の抗炎症作用が示唆されたため,炎症性サイトカイン(IL-1β,TNF-α)の免疫染色を行い陽性細胞率を比較した.その結果,TNF-αにおいてGe-132軟膏塗布群では5.98±1.8%であり,単軟膏塗布群で13.89±2.62%と比較すると有意に低下していた. 以上よりGe-132は口腔粘膜に対して抗炎症作用があることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度においては,本来Ge-132の至適濃度を確認する予定であったが,Ge-132の口腔粘膜炎に対する抗炎症作用の有無を確認する必要があり,プレ実験を行ったため
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今後の研究の推進方策 |
次年度にてGe-132の至適濃度の検討と生体内分布の確認を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
ラットの購入が想定よりも安価であったため残額が生じたが、当該予算については、次年度実施するGe-132の至適濃度の検討と生体内分布の確認のために必要な物品購入等に充当する予定である。
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