研究実績の概要 |
本研究は生体微量金属元素のCO32-,Mg2+,Zn2+,F-をリン酸カルシウムに配合した生体骨アパタイト(Synthetic bone mineral: SBM)をインプラントにコーティン グする表面処理法を開発し、埋入後に形成される早期な新生骨形成と骨質向上を明らかにする。 実験は9週齡骨粗鬆症モデルラット(OVX)に全身麻酔を行い、左側大腿骨遠位端から10mmの位置に剃毛と消毒後、切開を行い、骨膜を剥離し骨面を露出する。埋入窩は大腿骨に直径1.2mmの孔の形成し、インプラントを埋入した。OVXは埋入後2週および4週後に大腿骨を摘出した。令和2年度の研究実績として、摘出した骨はインプラント引き抜き試験、骨密度測定および組織学的観察によりSBMによる骨質向上の有用性の一部を明らかとした。 引き抜き試験で、インプラント埋入2週後のコントロール群は1.8±0.6NでSBM群は11.1±5.2 NでSBM群が有意に高い結果となった。インプラント埋入4週後のコントロール群は2.7±0.4 NでSBM群は16.7±2.8NでSBM群が有意に高い結果となった。 骨密度測定でインプラント埋入2週後のSBM群は385.0±33.0mg/cm3、コントロール群は270.8±29.4mg/cm3で、SBM群が有意に高い値となった。インプラント埋入4週後のSBM群は883.9±54.9mg/cm3、コントロール群は385.0±33.0mg/cm3で有意に高い値となった。 以上の結果から、OVXに対してSBMは骨代謝を早期に促進させて骨形成を優位にさせる材料であることが示唆された。組織学的観察は現在解析を行っており、令和3年度に成果をまとめて論文投稿を予定します。
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