研究課題
本年度は、昨年度までに調製が完了したAgを担持したリン酸八カルシウムブロックの生物科学的評価に取り組んだ。術後感染症の原因となる複数の菌種に対しての抗菌試験をまず行った。いずれの菌においても、本Ag担持リン酸八カルシウムは、優れた接触抗菌性を示した。共同研究先のロックダウンが解除されたため、当初の計画から遅延していた動物実験に取り組んだ。実験動物として、ウサギを用いた。ケタミンとキシラジンの混合麻酔の筋肉注射により全身麻酔後、両脚の大腿骨部周辺を毛刈りし、イソジン消毒液で消毒する。大腿骨頭に局所麻酔として2%リドカインを骨欠損形成予定箇所周辺の骨膜下数カ所に投与した後、膝部を、メスを用い約2cmの縦切開を加え大腿骨を展開する。骨膜を剥離し大腿骨頭遠位端を露出して,トレフィンバーと電動ドリルで直径6.25mmの骨孔を形成し、錠剤状に成形したセラミック成型体(φ6×3mm)を、骨欠損部に埋入した。調製したAg含有リン酸八カルシウムブロックを埋入し、骨補填材としての有用性を評価した。経時的にCT撮像で、炎症や、異形成が無いことを確認した。さらに、6ヶ月埋入後、動物を安楽死させ、試料を摘出し、病理標本を作成したところ、良好な骨置換が観察された。また、骨と試料が強固に接合している所見、試料内部に骨が侵入している所見も観察された。また、周囲の組織において炎症、壊死などの為害性は観察されなかった。よって、本Ag含有リン酸八カルシウムブロックは、骨補填材として有望であることが分かった。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件)
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