本研究の目的は、睡眠時ブラキシズムが生体に及ぼす為害作用をブラキシズムにより発揮されるパワーの観点から明らかにするために、咀嚼筋筋電図データを用いてブラキシズム時に発揮される咬合力を推定するシステムを構築することである。 そのために随意咬みしめやブラキシズム様シミュレーション運動、ガム咀嚼や睡眠時ブラキシズム時の各種咀嚼関連筋の筋電図測定を行い、振幅,持続時間,積分値,周波数特性等のデータを集める。また、随意咬みしめやシミュレーション運動では同時にデンタルプレスケールを用いて咬合力データも収集する。性別,身長,体重,体脂肪率,歯列,咬合接触状態などの各被験者の個体情報やシミュレーション運動時のデータから推定関係式を構築し、被検者数を増やすとともに妥当性の検討と修正を繰り返し、より精度の高い関係式を構築する計画である。 今年度は測定により得られた各種データのまとめ・整理を概ね終えており、解析と検証を進めている。これまでの検証内容を報告するため、令和4年7月に開催された学会で発表を行った。また、それをまとめた論文も投稿し受理されており、令和5年度中に出版される予定となっている。 咬合力を推定するためのより精度の高い関係式を構築するにはニューラルネットワークを応用することで必要であり、それには適したAIシステムの導入が欠かせない。そのために既成のAIシステムからの探索やAIについての学習を進めている。
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