研究課題/領域番号 |
19K19084
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
高草木 謙介 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 特任助教 (90804584)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | デンチャープラーク / 義歯性口内炎 / Candida albicans |
研究実績の概要 |
これまでに生活習慣病の予防は健康長寿に重要であるといわれてきたが,フレイルが原因で要介護に陥ることも多く,その予防および進行抑制は喫緊の課題である.フレイルは健康から要介護へ移行する中間の段階と言われており,適切な介入を行うことにより要介護に陥ることを防ぐと考えられている.しかしながら,具体的な予防法は明らかでない.近年,高齢者の口腔内微生物とフレイルとの関連が報告されており,義歯表面への微生物の付着を抑制することがフレイルの予防や進行抑制に有効となる可能性がある.我々はデンチャープラーク中のC. albicansに着目し,同菌の義歯への付着を抑制することを目指すこととした. そこで 本年度は,義歯床用材料上にCandidaバイオフィルムを形成し,以下のような除去方法で効果を検証した.①グレープフルーツ種子抽出物(GSE)のCandidaバイオフィルム除去効果.バイオフィルムを形成した義歯床用材料をGSE溶液に浸漬しバイオフィルム除去効果を検証した.②405-nm LED光照射による義歯上Candidaバイオフィルム破壊効果について検討.義歯装用材料表面に形成したバイオフィルムに対しLED光を照射し検証を行った.バイオフィルムの除去効果をCFU assayによる定量的評価を行なった.また,蛍光顕微鏡,SEM撮影による視覚的評価を行なった. 本年度は①と②に関してデータの取得を行い,成果を発表した.今後はデンチャープラークを構成する各種病原菌への効果,さらにはデンチャープラークへの効果を口腔バイオフィルムモデルを用い評価する予定とする.また,さらなる効率的なバイオフィルム除去方法の検討を行い引き続き行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
義歯床用材料上に付着するC,.albicansバイオフィルムの形成を行い,その除去効果について検討を行なった.本年度はバイオフィルム形成の手技の確認や各試験の効果について検討した.本年度に得られた成果については学会と論文にて発表した.
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今後の研究の推進方策 |
現在までに得られた知見を基に解析を進めより効率的な義歯清掃法の開発を行う.さらには臨床研究を行うことにより,より全身的な症状であるフレイルの予防や進行抑制に口腔内からアプローチする手法の確立を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は実験室内におけるCandidaバイオフィルム除去効果に関する検討を行なった.実験室内での実験に終始し,臨床研究で使用予定の機材の購入を見送った事,消耗品の使用が抑えられたことが支出が低くなった原因と考えられる.また,学会の参加も1回のみであったため旅費に関する経費も少なくなった.次年度は実際のデータ採得に必要な物品の購入および学会参加を予定している.
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