研究課題/領域番号 |
19K19085
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
渡邉 知恵 東京医科歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (40801519)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 部分床義歯 |
研究実績の概要 |
本研究は,糖尿病患者に対して糖尿病罹患者に対する部分床義歯治療の指針として,中等度から重度の歯周炎罹患者に適用しても問題ないと示唆された義歯のテザインや管理法かが糖尿病に罹患した部分歯列欠損患者の治療にとって有効であるかどうかを明らかにすることを目的としている. 本年は,まず後ろ向き研究のデータの収集および統計処理を行った.後ろ向き研究のデータは,なるべく多くのサンプル数を得るために,総合診療室の患者のデータを用いた.後ろ向き研究で得られた結果としては,部分床義歯の支台歯5年生存率は,糖尿病群が93.1%,非糖尿病群が95.2%であり,両群間に有意な差は認められなかった.また,「失活歯」と「年齢」が支台歯生存において有意な影響をもつ予後因子であることが示唆された.さらに非糖尿病罹患者と比較して糖尿病罹患者では,部分床義歯の装着後,5年経過すると,支台歯歯槽骨の欠損側骨頂部の骨密度が低下する可能性があることが明らかとなった.これらの研究成果の報告として,日本補綴歯科学会と国際歯科研究学会(IADR)にて研究発表を行った.日本補綴歯科学会では,優秀ポスター賞(デンツプライ賞)を受賞した.さらに国際歯科研究学会(IADR)では,補綴グループのクリニカルリサーチ部門のニールギャレットクリニカルアワードを受賞した. また,後ろ向き研究で得られたデータをもとに,前向き研究の実験計画の推敲,および倫理審査書類の準備を行い,現在申請中である.前向き研究は,医局の協力のもと,患者のリクルートを行う予定である.また,可能な限り長期の予後を観察していくことを目標としている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
総合診療室の患者235名を対象とした後ろ向き研究により,部分床義歯の支台歯5年生存率は,糖尿病群が93.1%,非糖尿病群が95.2%であり,両群間に有意な差は認められなかった.また,「失活歯」と「年齢」が支台歯生存において有意な影響をもつ予後因子であることが示唆された.さらに非糖尿病罹患者と比較して糖尿病罹患者では,部分床義歯の装着後,5年経過すると,支台歯歯槽骨の欠損側骨頂部の骨密度が低下する可能性があることが明らかとなった.こちらの内容は,国内学会および国際学会にて発表済みであり,追加データを含めた上で論文投稿の準備を行っている. これをふまえて前向き研究の取り込み基準および取り込み予定人数を決定した.前向き研究では,後ろ向き研究で対象とした歯周検査,レントゲン検査に加え,咬合力検査,唾液検査,血液生化学的検査なども追加する予定である.現在までに実験計画の推敲,および倫理審査書類の準備を行い,申請中である.前向き研究は,医局の協力のもと,患者のリクルートを行う予定である.また,可能な限り長期の予後を観察していくことを目標としている.
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今後の研究の推進方策 |
今後は前向き研究の実施に向けて,倫理審査申請が通り次第.実際に患者リクルートを開始していく予定である.前向き研究では,後ろ向き研究で対象とした歯周検査,レントゲン検査に加えて,咬合力検査,唾液検査,血液生化学的検査なども追加する予定である.前向き研究にかかる費用,人材を研究グループで検討している.さらにキャリブレーションをはかるため,研究グループのメンバーでデータ採得の実施も行っていく. また,後ろ向き研究で得られた結果については,歯周検査の追加データも含めた上で,論文発表を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度の国際学会が中止となったため,次年度に繰り越し再度別の学会等での発表を検討している.
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