研究課題
メカニカルストレスは、天然歯およびインプラントのそれぞれの周囲歯槽骨の骨リモデリングに影響を及ぼすことが報告されている。しかし、両者の周囲歯槽骨に対するメカニカルストレスの伝達機能の違いは十分には明らかになっていない。今年度は、前年度までに確立した方法を踏襲して天然歯周囲の歯槽骨における微小領域のメカニカルストレスが骨組織の細胞活性に与える影響の調査を行った。雄性マウスの上顎左側第一臼歯に対して実験的荷重を8日間または15日間連続で付与し、各マウスのin vivo μCTデータを基に構築したマウス上顎骨有限要素モデルから得た応力分布図と、荷重実験を行ったマウスの組織像を重ね合わせ、臼歯に荷重を与えていないマウスを対照群として、局所の応力と骨組織の形態学的パラメータを比較解析した。関心領域は口蓋根周囲の歯槽骨とし、歯槽骨全周を12分割した各部位について解析を行った。その結果、マウス臼歯歯根周囲の歯槽骨では、引張り応力が大きな部位において荷重群の破骨細胞数は対照群に比べ有意な高値を示した。また、ES/BSの平均値はほぼ全ての部位で対照群より荷重群で高かった結果から、荷重群は対照群に比べ骨吸収活性が高いことが示唆された。さらに、引張り応力が大きな部位において荷重群の骨形成パラメータは対照群に比べ有意な高値を示したことから、局所の引張り応力は天然歯周囲の骨代謝回転を亢進させることが示唆された。
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Journal of the Mechanical Behavior of Biomedical Materials
巻: 138 ページ: -
10.1016/j.jmbbm.2023.105666