研究課題/領域番号 |
19K19089
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
盛林 昭仁 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (10826952)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | α7ニコチン性アセチルコリン受容体 / 骨芽細胞分化 / 骨組織再生 |
研究実績の概要 |
失われた歯槽骨の再生は補綴歯科治療の重要な課題であり,新たな骨造成法の開発が期待されている。しかし,骨代謝の分子機構はいまだ解明されていない点が多く,新たな治療法に繋がる標的分子の探索が盛んに行われている。近年,α7ニコチン性アセチルコリン受容体(α7-nAChR)の骨代謝への関与が報告された。この受容体は免疫反応の制御のみならず,破骨細胞分化への関与も示唆されているが,骨芽細胞分化および骨組織再生に及ぼす影響については明らかにされていない。本研究の目的は,骨芽細胞分化におけるα7-nAChRの関与を明らかにし,この受容体が骨再生治療の新たな標的分子となる可能性を探索することである。 令和3年度は,令和2年度に確立した頭蓋骨欠損ラット実験モデルを用いて,in vivoにおけるα7-nAChRの骨組織再生に及ぼす影響を局所で検討した。概要としては,ラットの頭蓋骨に骨欠損部を形成し,α7-nAChRの特異的拮抗薬であるmethyllycaconitine(MLA),または,その特異的作動薬であるPNU-282987(PNU)を含浸したコラーゲンスポンジを埋入し,2~3日ごとにMLA,または,PNUの局所注射を行った。その後頭蓋骨を数週間の後に摘出し,摘出した頭蓋骨に対してMLA,または,PNUが骨形成におよぼす影響をH-E染色およびマイクロCT画像で評価した。H-E染色の結果,control群に対して,MLA群およびPNU群のどちらの群においても著名な新生骨の形成を認めた。また,マイクロCT画像解析の結果,骨塩量,骨体積のいずれにおいても,MLA群およびPNU群で有意に骨形成促進作用が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの蔓延により,研究活動に制限がかかったため,当初予定していたα7-nAChRのin vivoにおける検討は,局所的のみまでで止まってしまったから。
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今後の研究の推進方策 |
今後は頭蓋骨欠損ラット実験モデルにて認められた実験結果を再検証するとともに,そのような結果になった要因解明の一助とすべく,免疫化学染色などを用いて,α7-nAChRが骨組織再生に及ぼす影響をより検証していく.また,前年度は検討できなかった骨粗鬆症モデルマウスにて,MLAまたはPNUを腹腔内注射することで,α7-nAChRが全身的に及ぼす影響も併せて検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの蔓延により,研究活動が制限されたことにより,研究計画が遅れたため,結果,次年度使用額が生じた。 次年度は予定された実験を進めていくとともに,その結果を世界に発信すべく論文投稿まで行う予定である。
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