研究課題/領域番号 |
19K19103
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
佐藤 多美代 昭和大学, 歯学部, 助教 (40814629)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 覚醒時ブラキシズム / 顎関節症 |
研究実績の概要 |
咀嚼筋や顎関節の慢性的な痛みを伴う顎関節症は多因子疾患であると考えられている。リスク因子の一つである睡眠時ブラキシズム(SB:Sleep Bruxism)は睡眠時ポリグラフなどの客観的評価法が確立されており、発生機序が明らかにされつつある。しかし一方、同じくリスク因子である覚醒時ブラキシズム(AB:Awake Bruxism)については装置の小型化が進むまで日中の装置装着が困難であったため、SBと比較して不明な点が多い。SBの大半はノンレム睡眠からレム睡眠に移行する時に発生することがわかっており、発生直前には交感神経活動が上昇し、脳波や心拍数に変化が現れる。SBと同様にAB発生前にも生体情報が変化する可能性がある。 そこで本研究では、被験者に咀嚼筋筋電図および生体情報モニタを装着して日常生活を送ってもらい、AB発生時に変化する生体情報(心拍数、心電図、脳波、皮膚温度)を比較・検討することで、ABの発生機序を明らかにすることを目的とした。令和2年度は、筋電図(EMG)、心電図(ECG)、脳波(EEG)、皮膚電位(EDA)を同時に測定できるBiosignalPlux(Plux社)のウェアラブルタイプの身体用生体信号計測プラットフォームのセットアップを行い、数名の被験者で予備実験を行った。今後は、健常被験者と顎関節症患者の生体情報の変化の違いを比較・検討する予定である。さらに結果をもとに、ABの認知行動療法に応用できる生体情報を予測・検討することも考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は健常者および顎関節症患者を被験者とする研究であるが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて被験者の確保が困難となる時期があったため、研究の遂行が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
健常被験者20名と顎関節症患者20名からデータを収集する。顎関節症患者は昭和大学歯科病院顎関節症治療科を受診した患者で、咀嚼筋痛を認める者を予定している。その後、健常被験者と顎関節症患者で生体情報に変化が認められるかを分析する。また、AB発生を予測し、ABの認知行動療法に応用できる生体情報について考察する。結果については学会等で報告を行い、国際誌への投稿へ向けて論文を執筆する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の開始が遅れており、消耗品と被験者への謝礼の出費が予定より少なかった。また、学会での研究結果の報告は行わなかった。今後は被験者を用いて実験を行うので、消耗品と謝礼が必要である。また、学会での報告と国際誌への投稿の準備にも費用が必要である。
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