我々は咬合性不調和の1つである過剰咬合が脳内のアルツハイマー型認知症関連分子の発現を介して認知能力を低下させるという仮説を立てた.本研究では,咬合不調和と脳内のサイトカイン発現,認知能を制御する分子の発現,および学習・記憶認知能の影響との関係性を明らかにすることを目的とした. 過剰咬合を用いた咬合不調和において,血清や海馬においてIL-1βの発現が上昇し, 同時にアミロイドβやリン酸化タウなどの認知能抑制分子の蓄積が誘発されることにより認知能の低下が起こる可能性が示唆された.一方,高齢12ヶ月齢マウスでは咬合不調和による影響がほとんどない可能性が示唆された.
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