研究課題
2019年度は,70 歳群約1000名,80 歳約1000名,90 歳約300名の6年間の縦断研究より得られた,口腔内検査結果(歯数,う蝕,修復状況,咬合状態,歯周病検査),口腔機能検査結果(咬合力,咀嚼能率,舌圧,刺激時唾液分泌速度,反復唾液嚥下テスト測定、舌口唇運動機能、口腔不潔),栄養摂取状態,身体計測結果(血圧,体脂肪率,筋肉量などの体組成),生理機能検査による動脈硬化関連指標,認知機能検査,血液検体による動脈硬化関連指標,運動機能計測結果(握力,歩行速度,ステッピング,立ち上がり),一塩基多型のベースライン調査、3年目の追跡調査、6年目の追跡調査のデータについて,再チェック,整理し,機械学習用のデータセットを作成した.このうち,これまでに収集した70歳群、80歳群455名(男性223名,女性232名)のデータを用い,サルコペニアと口腔機能との関連について分析を行った.サルコペニアの判定は,Asia Working Group for Sarcopeniaの診断基準に基づき行った.口腔機能は,咬合力,咀嚼能率,舌圧,舌口唇運動機能,嚥下機能について,口腔機能低下症の診断基準に基づいて健常群,低下群の2群に分類した.目的変数をサルコペニアの罹患とし,説明変数を性別,年齢,残存歯数,義歯使用の有無,咬合力,咀嚼能率,舌圧,舌口唇運動機能,嚥下機能として,ロジスティック回帰分析を行ったところ,咬合力がサルコペニア罹患に関連することが明らかとなった.また,2019年度に70歳群の9年目の追跡調査を兵庫県伊丹市,朝来市,東京都板橋区,西多摩郡にて行い,これまでと同様のデータの収集を新たに行った.
2: おおむね順調に進展している
データセットの作成については,ベースライン調査時(70歳群,80歳群,90歳群),3年追跡調査時(70歳群,80歳群,90歳群)まで終了した.また,70歳群の9年目の追跡調査を兵庫県伊丹市の対象者168名,兵庫県朝来市の対象者121名,東京都板橋区の対象者145名,東京都西多摩郡の対象者116名、計550名(男性272名,女性278名)に対して行った.
2020年度には,70歳群9年目の追跡調査のデータのチェック,整理を行うとともに,80歳群1000名を対象として,9年目の追跡調査を行い,新たなデータの収集を行う.作成したデータセットを用いて,分析を横断的,縦断的に行っていく.
データ整理の分担のために人件費を計上していたが,当初の予測に比べてデータ整理を簡潔に行うことができ,すべて研究代表者が行ったために人件費・謝金が不要となった.次年度使用額については,次年度に開催される学会での成果発表に伴う費用、あるいは投稿予定の論文の英文校正費に充てることとしたい.
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Gerodontology
巻: 36 ページ: 156-162
10.1111/ger.12393