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2019 年度 実施状況報告書

大規模縦断研究による咀嚼能率と動脈硬化性疾患との関連の検討

研究課題

研究課題/領域番号 19K19123
研究機関大阪大学

研究代表者

來田 百代  大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (10733082)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワード咀嚼能率 / 循環器・高血圧
研究実績の概要

1)データの収集:すでに平成20~26年に国立循環器病研究センター予防健診部において歯科検診を受診した吹田研究基本健診参加者の中で初回歯科検診から4年以上経過し、文書により同意を得た者に対して研究期間中に再評価を行った。また、同時に初回歯科検診も行い、ベースライン時の調査者数の増加を図った。しかしながら、国立循環器病研究センターの移転及びに新型コロナウイルスの影響にて、検診が可能な期間が短く、平成30年度内に歯科検診再評価は3名であった。
2)咀嚼能率低下とメタボリックシンドローム罹患との関係:ベースライン時ならびに再評価時いずれにも参加した937名の医科歯科データを用いた。調査項目に欠落のあった138名、およびベースライン時にメタボリックシンドロームあると診断された200名を除外した599名のうち、ベースライン時の咀嚼能率の値より、咀嚼能率低下群、非低下群に分類した。ベースライン時の咀嚼能率低下の有無とメタボリックシンドローム罹患との関連についてCox比例ハザードモデルを用いて男女別に解析を行った。男性においては咀嚼能率低下群におけるメタボリックシンドローム罹患危険度は、年齢、歯周状態、喫煙習慣、飲酒習慣の調整を行った上でも2.13(95%信頼区間:1.05-4.30)であった。一方で女性においては、有意な関連は認められなかった。本研究の結果は、咀嚼能率が低い場合、摂取可能食品の選択肢が狭まることで栄養バランスに悪影響を及ぼすという仮説を支持するものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

国立循環器病センター移転及びに新型コロナウイルスの影響で、歯科検診が行えない期間が発生しており、データの収集という点においては予定より遅れている。しかしながら、その一方で、解析作業、論文投稿を行っていることより、研究全体の進捗状況としては、やや遅れてはいるものの、おおむね順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

新型コロナウイルスの収束により、歯科検診が可能となれば、データ収集を再開する。6月より再開できた場合、歯科検診再評価者は125名を目標とし、累積して1,130名を目標とする。初回歯科検診は12名を目標とする。解析については、前年度に引き続き、サンプル数を追加して横断解析を行う。また、ベースライン評価からの追跡期間は最長でも4年と短く、サンプル数も十分ではないが、前向きコホート研究のプレ解析として、これまでの横断解析で頸動脈硬化との関連が認められている口腔健康因子(歯周病、咀嚼能力関連因子)のベースラインデータならびに追跡期間中の変化が、再評価時における動脈硬化性疾患リスク因子ならびに発症に及ぼす影響について、縦断解析(年齢、性別、既往歴、生活習慣等を調整した多変量解析)を行い、今後の前向きコホート研究の基礎資料を得ることを目標とする。

次年度使用額が生じた理由

国立循環器病研究センターの移転、及びに、新型コロナウイルスの影響にて、歯科検診が予定通り行えなかったこと、また、学会の延期等により、使用予定額の差異が生じた。次年度も同様に差額が生じる可能性があるが、唾液検体の解析には元々予算は不足しており、使用予定金額を増加させることで、総合的な研究計画の進行を図る。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Decreased masticatory performance is related to increased intima-media thickness in a general urban Japanese population: The Suita study2020

    • 著者名/発表者名
      Kida Momoyo、Ono Takahiro、Kokubo Yoshihiro、Yoshimuta Yoko、Kosaka Takayuki、Kikui Miki、Yamamoto Masa-aki、Ikebe Kazunori、Maeda Yoshinobu、Nokubi Takashi、Nishimura Kunihiro、Watanabe Makoto、Higashiyama Aya、Miyamoto Yoshihiro
    • 雑誌名

      Journal of Prosthodontic Research

      巻: 3 ページ: 346-353

    • DOI

      10.1016/j.jpor.2019.10.001

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Periodical utilization of dental services is an effective breakthrough for declining masticatory performance: the Suita study2020

    • 著者名/発表者名
      Fujii Katsunori, Kosaka Takayuki, Hasegawa Yoko, Kida Momoyo, Hashimoto Sakae, Fushida Shuri, Nokubi Takashi, Kokubo Yoshihiro, Watanabe Makoto, Higashiyama Aya, Miyamoto Yoshihiro, Ikebe Kazunori, Ono Takahiro
    • 雑誌名

      Odontology

      巻: ‐ ページ: -

    • DOI

      10.1007/s10266-020-00501-3

    • 査読あり
  • [学会発表] 都市部一般住民における咀嚼能率低下はメタボリックシンドローム罹患のリスクとなる:吹田研究2019

    • 著者名/発表者名
      伏田朱里、小野高裕、高阪貴之、來田百代、橋本栄、野首孝祠、小久保喜弘、池邉一典
    • 学会等名
      日本咀嚼学会代30回記念学術大会
  • [学会発表] 顎顔面補綴症例データベースの運用に関する検討ー2009年から2019年までの患者調査について2019

    • 著者名/発表者名
      總山彰雄、高阪貴之、來田百代、皆木祥伴、村上和裕、橋本栄、笠川尚彦、伏田朱里、池邉一典
    • 学会等名
      一般社団法人日本顎顔面補綴学会 第36回 総会・学術大会

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公開日: 2021-01-27  

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