研究実績の概要 |
歯科インプラント治療において,歯の喪失に起因する顎骨の欠損や骨造成術後の骨量減少,インプラント周囲炎による周囲骨吸収は,インプラントの長期安定をしばしば困難にするが,絶えずリモデリングする骨における骨吸収亢進のメカニズムは未だ完全には解明されていない.特に,インプラント周囲炎はインプラント埋入後の合併症として比較的高頻度に見られ,過剰な咬合力によるインプラント周囲歯槽骨吸収が原因の一つとして考えられているが,機械的圧力と骨吸収の関連については不明な点が多く,分子レベルでのメカニズム解明が求められている. 骨細胞は,骨リモデリングの司令塔として多くの役割を担うことが知られてきており,本研究は,骨細胞がリモデリングをコントロールする機序の解明を目的とした.特に,ヒトにおいて,熱や伸展刺激,浸透圧などの物理刺激で活性化するとされているカルシウム透過性チャネルであるTRPV4の遺伝子変異が原因で骨や軟骨に異常を生じる疾患が分かっており,骨細胞とTRPV4,およびこれまでに知られている骨細胞マーカーについて解析した. in vitro実験には,マウス株化細胞IDG-SW3を使用した.コラーゲンコートしたフラスコで実験に適した密度まで細胞を培養し,人工無重力装置Graviteを用いて実験した.7,14,21,28日後にサンプルを回収し,リアルタイムPCRでFgf23, Phex, Dmp1, Trpv4, 現在まで解析に時間を要したが,結果を検討している状況である.
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