研究実績の概要 |
睡眠時ブラキシズム(SB)は,睡眠中の非機能的な顎運動であり,顎口腔系の諸器官に様々な悪影響を及ぼし,補綴歯科領域における患者のQuality of lifeの低下を招く原因である.SBの筋活動には様々なパターンがあることが示されているが,臨床的にはこれらの多寡を考慮せず一括りに診断され,画一的な対応がなされているため,正確な診断・治療がなされていないのが現状であり,根本的な治療法の確立は急務であるが,薬剤を用いた治療法は臨床的に未だ確立されていない.申請者らが行った先行研究における,α2アドレナリン受容体作動薬であるクロニジンのSB抑制効果を認めたことを踏まえ,本研究は,睡眠ポリグラフ検査(PSG)を用いることで得られるSBの生理学的病態分類ごとの抑制効果・脳波活動への影響を検証し,薬剤によるSB抑制効果発現メカニズムの解明につながる知見を得るためのものである. 令和元年度・二年度同様にリクルートした被験者に対して,歯ぎしり音の指摘・咬耗・起床時筋痛・咬筋肥大による臨床的診断基準を用いて一次スクリーニングを行ない,その結果,SBを認めたものに対し,PSGにて二次スクリーニングである睡眠中の咬筋筋活動測定を実施し、それぞれのSB eventに対してGrindingを反映していると考えれているphasic, Clenchingを反映していると考えれているtonicな筋活動に分類を行なうことで被験者の増員を行っている. 令和三年度と四年度は代表者の所属大学変更・新型コロナウイルス感染症の拡大を鑑みて、家庭環境で測定可能な方法で振動刺激による睡眠時ブラキシズムの抑制効果の検証を行い、研究成果報告を行なった.
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