研究課題/領域番号 |
19K19141
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
小田 由香里 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (20778518)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | Streptococci / インプラント周囲炎 / フッ化物 / チタン / ジルコニア |
研究実績の概要 |
現在、インプラント周囲炎は治療法の開発が喫緊の問題となっている。初期定着細菌群(Streptococci)がインプラント周囲炎に関連すると示唆される一方で、インプラント表面におけるバイオフィルム形成細菌叢の詳細は明らかでない。しかしながら、初期定着細菌群をターゲットに付着抑制可能な表面改質を実施することにより、最終的にインプラント周囲炎を惹起する細菌で構成されるバイオフィルム形成の後期定着細菌群の表面付着抑制に繋がる可能性が高いと考えた。 第一段階として、Streptococciにおいて、材料間の付着の違いについて評価を行った。具体的には、チタン及びジルコニアディスク上におけるS.sanguinis,S.gordonii,S.oralis及びS.mutansの付着の評価を行った。チタン及びジルコニア群におけるRa及び接触角は,両群間で有意差が認められなかったものの、生菌数をATP lunmino assayにて計測・SEMにて評価したところ、S.sanguinis,S.gordonii,S.oralis共にチタン群と比較してジルコニア群において生菌数が有意に低いという結果が得られた。しかしながらS.mutansは、両群間に有意差は認めないという結果を得た。 第二段階として、Streptococciの付着を防止する臨床的に簡便な方法を模索することとした。S.mutansにおいて齲蝕を抑制することで広く知られるNaFに着目し、2%NaFがS.sanguinis,S.gordonii,S.oralisといった他のStreptococciの付着抑制にも有効であるかを検討した。ATP lumino assayより、チタン及びジルコニアディスク上に2%NaFを塗布した群では、NaF塗布しない群と比較し、生菌数が少ないことが明らかになっている。詳細についての検討は、2020年の課題とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の第一段階として、チタン及びジルコニアディスク上におけるS.sanguinis,S.gordonii,S.oralis及びS.mutansの付着の評価を行った。チタン及びジルコニア群におけるRa及び接触角は,両群間で有意差が認められなかったものの、生菌数をATP lunmino assayにて計測・SEMにて評価したところ、S.sanguinis,S.gordonii,S.oralis共にチタン群と比較してジルコニア群において生菌数が有意に低いという結果が得られた。以上より、材料により付着に差があることが明らかになったため、進捗は順調であると思われる。 また、本研究の第二段階として、Streptococciの付着を防止する臨床的に簡便な方法を模索し、2%NaFがS.sanguinis,S.gordonii,S.oralisといった他のStreptococciの付着抑制にも有効であるかを検討したところ、ATP lumino assayの結果より、チタン及びジルコニアディスク上に2%NaFを塗布した群では、NaF塗布しない群と比較し、生菌数が少ないことが明らかになっている。以上より、初期定着細菌群Streptococciをターゲットにした付着抑制が、NaF塗布において可能であると考えられるため、本題における進捗状況ははおおむね順調であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の第二段階として、2%NaFがS.sanguinis,S.gordonii,S.oralisといった他のStreptococciの付着抑制にも有効であるかを検討したところ、ATP lumino assayより、チタン及びジルコニアディスク上に2%NaFを塗布した群では、NaF塗布しない群と比較し、生菌数が少ないことが明らかになった。しかしながら、2%NaFがチタンジルコニア表面の性状を改変するのか等の詳細な検討や、どの濃度でどの程度の抑制効果があるのか等の詳細な条件検討も未だされていないため、この点については2020年の課題とし、臨床応用に直結した条件を模索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の実験計画については計画通りだが、本年度使用予定の試薬・機器等の物品費が低く抑えられたため、次年度の試薬・機器等の物品費に充てることとした。次年度についても当初の計画通り、進めていく。
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