研究課題/領域番号 |
19K19153
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
宮本 勲 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (00741836)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 全ゲノム解析 / 放射線耐性細胞株 / mutation / 口腔扁平上皮癌細胞株 / 抗癌剤耐性細胞株 |
研究実績の概要 |
口腔癌発生に関しては、「これぞdriver gene」というほど決定的な役割を果たしている遺伝子が絞り込まれておらず、むしろ、多くの遺伝子の構造異常や発現異常が積み重なって発症する可能性が考えられている。すなわち、口腔癌発生過程においては、多くの遺伝子の系統的な異常が積み重なることが必要であると考えられているのである。 近年、シーケンス解析研究によりゲノム配列の様々な構造変化が明らかにされ、癌の発生、浸潤・転移、治療抵抗性などに特徴的な構造変化が重要な役割を果たしていることが再認識されるようになった。すなわち、mutation などの単純な構造異常ばかりでなく、遺伝子配列の繰り返し構造であるtandem duplicator(TD)の全ゲノム上における分布状態(tandem duplicator phenotype; TDP)が系統的意義を有することが提唱され、全世界的に盛んに研究されている。TD は非常に強力な遺伝子発現システムであり、その全ゲノム上における分布による系統的遺伝子発現が起こり、発生・分化、癌化のような系統的役割を果たすことがわかってきた。 本研究において、全ゲノムワイドな解析によりTD がどのような遺伝子で起きているかを検討し、その分布状態(TDP)を明らかにし、口腔癌発生、悪性度獲得、治療抵抗性獲得等にどのように関与しているのかを明らかにすることを目的とした。 現在口腔扁平上皮癌細胞株、抗癌剤耐性細胞株、放射線耐性細胞株を用いてTD の同定と組織型特異的TD、遺伝子機能の組み合わせパターンの解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に予定していた研究計画には十分到達することができた。また、これまでの研究成果は、次年度以降の研究計画に大きく寄与できる内容であり、順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
解析結果よりヒトの全遺伝子を搭載しているmicro-array を用いて、各組織型癌細胞の遺伝子発現状態を明らかにする。 また次世代シーケンサーで各組織型細胞の全ゲノムを検索し、遺伝子の重複繰り返し構造であるTD の存在を検索し、組織型ごとに全ゲノム上にマッピングする。 さらにTD を形成する遺伝子をシーケンスにより明らかにし、その結果をMicro-array の結果と照合し、発現が実際に上昇しているTD とその形成遺伝子を明らかにする。そしてTD 形成遺伝子機能の組み合わせパターンを細胞株ごとに決定する。
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