| 研究実績の概要 |
口腔癌発生に関して「これぞdriver gene」というほど決定的な役割を果たしている遺伝子が絞り込まれておらず, 多くの遺伝子の構造異常や発現異常が積み重なって発症する可能性が考えられている。 近年mutation などの単純な構造異常ばかりでなく, 遺伝子配列の繰り返し構造であるtandem duplicator（TD）の全ゲノム上における分布状態（tandem duplicator phenotype;TDP）が系統的意義を有することが提唱され, 全世界的に盛んに研究されている。さらにTD は非常に強力な遺伝子発現システムであり, その全ゲノム上における分布による系統的遺伝子発現が起こり, 発生・分化, 癌化のような系統的役割を果たすことがわかってきた。またコピー数多型 (Copy Number Variation; CNV) の変異も遺伝子の重複・欠損に影響すると報告されている。本研究において, 全ゲノムワイドな解析によりTD 及びCNVがどのような遺伝子で起きているかを検討し,その分布状態を明らかにし, 口腔癌発生, 悪性度獲得, 治療抵抗性獲得等にどのように関与しているのかを明らかにすることを目的とし, 以下の成果を上げた。1）口腔扁平上皮癌細胞株について放射線照射実験を行い放射線抵抗性および感受性を示す細胞株を同定した。2) 放射線抵抗性株および感受性株について全ゲノム解析を行い, CNV及びTDP発現の変異をパターン化し比較検討した。その結果放射線抵抗に関与する可能性がある候補遺伝子を同
定した。
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