研究課題/領域番号 |
19K19176
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
加藤 宏 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (10755036)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | iPS細胞 / 骨芽細胞 / 骨再生 / 末梢血 |
研究実績の概要 |
本研究はヒト末梢血血液細胞由来のiPS細胞を活用した、低侵襲な骨再生療法の開発を目指すものである。 これまでにヒト末梢血血液細胞からiPS細胞を樹立し、骨芽細胞誘導を行うことができた。誘導細胞はin vitroでは骨芽細胞と評価したが、実際に生体内で骨形成能を有するか調べる必要がある。そこで本年度は、実験動物に細胞移植実験を行った。作製したラットの頭蓋骨欠損モデルを使用し、末梢血血液細胞由来iPS細胞から誘導した骨芽細胞を移植した群と細胞非移植のコントロール群との骨新生を比較検討した。足場材料はアテロコラーゲンスポンジを使用した。評価方法はマイクロCTによる画像評価と免疫組織化学染色(H-E染色・トルイジンブルー染色・マッソントリクローム染色)による組織学的評価を行った。画像所見としては、コントロール群では新生骨の形成をほとんど認めなかったのに対し、細胞移植群では骨欠損部周辺からの新生骨形成だけでなく、中心部においても散在性に硬組織形成が認められた。すなわち、移植細胞は骨形成能を有することが示唆された。組織学的所見として、新生骨は板状構造を示し、内部に骨細胞が存在し、表面にはlining cellの存在を認めた。これらの所見により新生骨が成熟骨でliving boneであることが考えられた。また、今回の移植実験では腫瘍性病変の出現などの有害事象は確認できなかった。過去のiPS株化細胞を使用したラット頭蓋骨欠損モデル移植実験結果と比較すると、骨新生の程度は劣っていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルスの感染が遷延している状況下で、研究体制の変更も余儀なくされたが、前年度までに確立した移植実験動物モデルを使用して、移植実験を遂行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
移植実験動物モデルを使用し、細胞移植群における長期的な有害事象の有無の検討、足場材料の改変を検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染の拡大の影響により研究遅延が発生したため。 翌年度に細胞移植実験の長期例を作製し、有害事象の検討を行う。また、移植実験における最適な足場材料の検索を行う。
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