研究課題/領域番号 |
19K19180
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
定岡 直 松本歯科大学, 歯学部, 助教 (80549395)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ChromograninA |
研究実績の概要 |
酸化ストレスが骨関連代謝細胞の核内で産生され骨粗鬆症治療薬により促進される機構に注目した。破骨細胞前駆細胞(RAW264.7)に対し、抗RANKL抗体製剤のデノスマブ・窒素含有ビスホスホネート製剤のアレンドロネートを作用させた結果、酸化ストレスであるクロモグラニンA(ChgA)遺伝子の増強が確認されている。酸化ストレスの抑制機構として注目されているNrf(NF-E2-related factor 2)・Keap1(Kelch-like ECH-associated protein 1)のSiRNAを導入したRAW264.7に対し骨粗鬆症治療薬を作用させ酸化ストレス機構の探求を試みた。Nrf2・Nrf2+Keap1導入時にChgA遺伝子の発現量が増強することが確認された。Keap1単独導入時には前者と比較し有意な変化は確認されなかった。またS.mutans由来LPSを滴下した環境で同様の実験を行った結果同様の傾向が確認された。次にChgAのSiRNAを導入したRAW264.7に骨粗鬆症薬やLPSを作用させてがNrf2とKeap1の遺伝子発現は抑制された。MRONJ発症に関わるNf-κBを制御する酸化ストレス発現の分子基盤としてChgAの関与の可能性が考えられる。この結果を踏まえ、骨粗鬆症モデルとして作製をするマウスに対しSiChgA・LPS等を作用させた場合の顎骨局所の酸化ストレス測定を行う考えである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
教育業務の増大や実験計画や方法にに対する指導を踏まえ、改めて実験計画の見直しを行ない細胞実験による裏付けを取り、動物実験に臨むこととした。破骨細胞前駆細胞を使用した細胞実験の結果、骨粗しょう症治療薬投与による顎骨壊死発症に関わるNf-κBを制御する酸化ストレス発現の分子基盤としてChgAの関与の可能性が確認された。昨今の感染症の状況を注視し動物実験に移行する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
細胞実験を踏まえ動物実験への準備を進めていたが新型感染症の拡大で動物実験の実施の見通しが立っていない状況である。関係者と相談し、早期に酸化ストレス可視化マウスを使用したMRONJ誘導マウスの作成に取り組む予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
細胞実験が中心となり費用の掛かる動物実験を今年度に行う為。
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