研究課題/領域番号 |
19K19180
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
定岡 直 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (80549395)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 顎骨壊死 / 骨吸収抑制剤 |
研究実績の概要 |
骨粗鬆症治療薬服用患者が歯科治療後に発症する関連顎骨壊死が臨床的に注目されている。BPsの一種である窒素含有BPs製剤(NBP)は破骨細胞に取り込まれることでアポトーシスを誘導する。古くなった骨細胞の吸収を阻害することで発生する過剰骨は感染リスクを高めるとされ近年RANK-RANKL機構に着目し標的とするヒト型モノクローナル抗体製剤骨粗鬆症薬が認可されが同じように顎骨壊死が誘導されたことが報告された。これまでの諸研究から発症因子として口腔内細菌感染による顎骨局所の炎症発症が指摘されている。口腔内細菌由来のLPSの影響を抑えるために口腔清掃指導は大変重要ではあるが万人が完璧にプラークコントロールを行うことは不可能に近い。本研究は顎骨壊死の発症予防においてNF-κBを介して新生骨の形成促進と過剰骨の吸収を両立させる精密なコントロールが必要不可欠である点に着目し活性酸素の過剰産生等免疫系等が引き金となる酸化ストレスが骨関連代謝細胞の核内で産生され骨粗鬆症治療薬により促進される機構に注目した。これまでに酸化ストレスの抑制機構として注目されているNrf(NF-E2-related factor 2)・Keap1(Kelch-like ECH-associated protein 1)のSiRNAを導入したRAW264.7に対し骨粗鬆症治療薬を作用させ酸化ストレス機構の探求を試みた。Nrf2・Nrf2+Keap1導入時にChgA遺伝子の発現量が増強することが確認されたがKeap1単独導入時には前者と比較し有意な変化は確認されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
疫学情報の収集や業務、自身の体調不良、動物実験協力者の繁忙や来訪制限等により研究計画の策定に遅れが出ている。マウスに各骨粗鬆症治療薬を投与、顎骨局所の酸化ストレス発現量を測定する。また顎骨壊死を誘導させたマウスに対しChgA/LPSを一定期間投与した場合の酸化ストレス発現について蛍光染色や血漿中の炎症性サイトカイン発現量を測定することで検証を行う。
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今後の研究の推進方策 |
昨今の感染症・衛生学分野の情報収集や教育業務環境の激変、オンデマンド授業への準備、実習授業における徹底的な感染対策準備等による業務の増大や大学の指針による動物実験協力者の繁忙やまん延防止等重点措置による来訪制限等により実験計画の遂行に影響が生じた。今年度も研究計画を延長し研究を遂行する。マウスに各骨粗鬆症治療薬を投与、顎骨局所の酸化ストレス発現量を測定する。また顎骨壊死を誘導させたマウスに対しChgA/LPSを一定期間投与した場合の酸化ストレス発現について蛍光染色や血漿中の炎症性サイトカイン発現量を測定することで検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨今の感染症・衛生学分野の情報収集や教育業務環境の激変、オンデマンド授業への準備、実習授業における徹底的な感染対策準備等による業務の増大や大学の指針による動物実験協力者の繁忙やまん延防止等重点措置による来訪制限等により実験計画の遂行に影響が生じた。そのため研究期間の延長申請を行い、①遺伝子導入によるストレス可視化マウスの作成、②作成したマウスにおける顎骨局所の酸化ストレス発現量を測定。③顎骨壊死を誘導させたマウスに対しChgA/LPSを一定期間投与した場合の酸化ストレス発現について蛍光染色や血漿中の炎症性サイトカイン発現量の探索④または細胞実験を含め代替研究方法を探索・策定し研究を遂行する。
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