骨粗鬆症治療薬服用患者が歯科治療後に発症する関連顎骨壊死が臨床的に注目されている。BPsの一種である窒素含有BPs製剤(NBP)は破骨細胞に取り込まれることでアポトーシスを誘導する。古くなった骨細胞の吸収を阻害することで発生する過剰骨は感染リスクを高めるとされ近年RANK-RANKL機構に着目し標的とするヒト型モノクローナル抗体製剤骨粗鬆症薬が認可され同じように顎骨壊死が誘導されたことが報告された。これまでの諸研究から発症因子として口腔内細菌感染による顎骨局所の炎症発症が指摘されている。口腔内細菌由来のLPSの影響を抑えるために口腔清掃指導は大変重要ではあるが万人が完璧にプラークコントロールを行うことは不可能に近い。本研究は顎骨壊死の発症予防においてNF-κBを介して新生骨の形成促進と過剰骨の吸収を両立させる精密なコントロールが必要不可欠である点に着目し活性酸素の過剰産生等免疫系等が引き金となる酸化ストレスが骨関連代謝細胞の核内で産生され骨粗鬆症治療薬により促進される機構に注目した。これまでに酸化ストレスの抑制機構として注目されているNrf(NF-E2-related factor 2)・Keap1(Kelch-like ECH-associated protein 1)のSiRNAを導入したRAW264.7に対し骨粗鬆症治療薬を作用させ酸化ストレス機構の探求を試みた。Nrf2・Nrf2+Keap1導入時にChgA遺伝子の発現量が増強することが確認されたがKeap1単独導入時には前者と比較し有意な変化は確認されなかった。これら細胞実験を踏まえ市販されている酸化ストレス可視化マウスを応用しMRONJ誘導マウスの作成は可能であると考える。
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