研究課題/領域番号 |
19K19183
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
伊川 裕明 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, QST病院 治療診断部, 歯科医師(任常) (00793928)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 重粒子線治療 / 顎骨壊死 / 細菌叢 |
研究実績の概要 |
研究対象症例に対し、①重粒子線照射野外、②重粒子線照射野内で腐骨露出部以外、③重粒子線照射野内の腐骨露出部の各3部位より細菌検体の採取を行った。今年度はこれまでに、10症例(各3検体)の全30検体の解析を行った。 解析方法は、各部位間において細菌叢の構造に統計学的有意な差の有無を調べるためにANOSIM(analysis of similarities)解析を行なった。各部位に存在する細菌種の相対存在量を比較するために、LEfSe(Linear discriminant analysis effect size)解析を行なった。
重粒子線照射野外および照射野内の腐骨非出現部位と比較して、腐骨露出部位の細菌叢はそれぞれの集団間に統計学的な有意差(p<0.05)を認めた。顎骨壊死部の細菌叢はその他の部位と比較してBacteroidetes門(prevotella属)、Fusobacterium門 (fusobacterium属)、Spirochaetes門 (treponema属)に属する細菌種が有意に豊富であることが認められた。これらはグラム陰性桿菌やらせん状桿菌の歯周病原菌であり、重粒子線照射後の顎骨壊死部の細菌叢には歯周疾患が関連している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定症例数20例のうち、20症例の検体採取をすでに終え、10例の解析が終了した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、解析症例数を増やし、より詳細な解析を行う予定である。その後、顎骨壊死の出現部位に存在する細菌を同定し、顎骨壊死出現患者に対して、特異的な抗菌薬等を投与することによって、顎骨壊死の感染リスクの低下を図ることを臨床的な目標とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
解析について、予定数の半分を行うことができなかった。それにともない、研究の進行状況から、解析にかかる費用、学会費や交通費の負担がなかったため、次年度使用額が生じたと思われる。
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