研究課題/領域番号 |
19K19183
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
伊川 裕明 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, QST病院 治療診断部, 歯科医師(任常) (00793928)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 頭頸部癌 / 重粒子線治療 / 顎骨壊死 / 口腔内細菌叢 |
研究実績の概要 |
重粒子線治療はX線や陽子線と異なる物理的・生物学的な特性から、放射線抵抗性の腫瘍に対して有効とされている。そのため、頭頸部腫瘍(口腔・咽喉頭の扁平上皮癌を除く)に対して2018年4月より保険が適用された。 口腔がんに対する重粒子線治療において照射後に顎骨壊死が出現し、口腔内に顎骨の露出を認めた症例は21.1から36.5%、腐骨除去術を要した症例は11.8%から13.5%であったと報告されている。重粒子線治療によって腫瘍の制御が図れたにも関わらず顎骨壊死や骨露出が出現した場合には、細菌感染による局所感染から深部への感染波及、膿瘍形成や全身状態の増悪へと繋がる。そのため、重粒子線治療後の顎骨壊死部の細菌感染の制御について、予防対策が必要と思われる。 口腔領域の感染の多くは嫌気性菌や難培養性細菌を含む混合感染である事が知られている。従来の培養法やPCR法では検出できる細菌数も限られ、既知の菌種のみが検出されるため、包括的に解析を行うことに限界があった。近年、培養に依存しない口腔内細菌叢の構成を解析する方法として、細菌の必須遺伝子である16SrRNA遺伝子を指標とした16S rRNA解析が報告されている。次世代シークエンサーを用いた16S rRNA解析は従来は解析困難であった口腔細菌叢を構成する菌種を網羅的に解明することが可能となる。これまでに、慢性顎骨骨髄炎に対する細菌叢の報告はされているが(4)、重粒子線治療後の顎骨壊死部の細菌叢を解析した報告なはい。 そこで、本研究の目的は、頭頸部がんに対する重粒子線治療において、顎骨壊死部の細菌叢の特徴を次世代シークエンサーを用いて明らかにすることである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の影響の為、口腔内からのサンプル採取を行うことが困難となり、症例数の蓄積に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの報告では、昨年度に採取した10症例30検体の解析であった。現在、今年度に採取した10症例30検体を合わせて、計20症例60検体の解析を行っている。結果は来年度に報告することができるものと思われる。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19まん延の為、症例数の蓄積に時間を要したため、次年度使用額が生じた。今後は予定症例数を減らし、研究を実施する予定である。
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