研究課題/領域番号 |
19K19185
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
板垣 祐介 東北大学, 大学病院, 医員 (70807049)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 3次元計測 / 口唇口蓋裂 / 口腔機能 / 舌圧 / 口唇圧 / 咀嚼能率 |
研究実績の概要 |
2019年度において、3次元撮影装置であるVectraを購入し操作、分析方法の確立した。3次元計測の姿勢補正の方法として、左右内眼角中点を原点とし、左右内眼角点、左右耳介付着上縁点と左右外眼角点の各点から最も近い平面をXZ平面、左右内眼角点を通りXZ平面に垂直な平面をXY平面、原点を通りXY平面に垂直な平面をYZ平面とした。また平面設定後に額部分が対称になるように微調整を行う。過去文献から、中顔面、下顔面では左右差が多く、変位しやすく、上顔面では左右差が少なく安定することがわかっており、本研究では額部分を参考として顔面の正中設定を行うこととした。被裂側を左側に統一するために、平面設定後に右側が裂側の症例は左右を反転し、左側を裂側として測定を行う。また、本年データの口唇口蓋裂患者を対象として、16名の撮影を行うことができた。 唇裂口蓋裂患者における口唇圧、舌圧の比較のため、健常児の口唇圧、舌圧の測定、測定値のまとめを行った。研究対象は、幼稚園・保育園に通園する3歳9か月から6歳10か月までの全身的な疾患のない小児257名とした。研究対象に対し、「口腔機能発達不全症に関する基本的な考え方」のチェックリストに掲載された17評価項目について評価を行った。さらに、客観的口腔機能評価として、口唇圧、舌圧、咀嚼能率についても測定を行い、17項目との関連性について重回帰分析により統計学的な検討を行った。結果として、咀嚼能率に関しては、年齢、歯列・咬合、う蝕、舌圧との間に有意な関連が認められた。口唇圧に関しては、年齢、カウプ指数との間に有意な関連が認められた。舌圧に関しては、年齢、カウプ指数、咀嚼能率との間に有意な関連が認められた。上記結果から、小児における口腔機能発達不全症に係るチェックリストの各評価基準と客観的口腔機能指標について、一定の関連性を明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3年の研究期間おける3次元計測装置での計測対象として、片側性唇裂30名、片側性唇顎裂30名、片側性唇顎口蓋裂30名の計90名を目標としている。だが、2019年度における計測数としては、16名であった。これは3次元計測装置の導入が1月ごろになり、撮影を開始したのが2020年2月と遅れたため、撮影数として少なくなってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、口唇口蓋裂患者を対象として、測定数を増やし、測定後の計測、まとめを行う。 計測項目とし、原点から健側キューピッド弓頂点までの距離/原点から患側キューピッド弓頂点までの距離(原点-キューピッド弓頂点長さの比)、健側口角点と患側口角点を結んだ線をXY平面に投影しX軸となす角度(口角角度)を計測し、口唇形態の対称性を評価する。また、上口唇の赤唇部分の三次元表面積を求める。 また、計測終了後に次の関連性について評価を行う。①形態評価の各項目間での関連について②口腔機能の各項目間での相関について③形態評価と口腔機能との関連についての3点に関して評価後、考察を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度においては、日本矯正歯科学会でのポスター発表等を予定しているため、旅費の使用が必要となる。また、3次元計測ソフトの保守、アップデートのためとして物品費が必要となる。
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