本研究では、口唇裂口蓋裂患者の成長期患者における顎顔面部での形態と機能との関連性を包括的に明らかにすることで、より効果的な治療方法、治療タイミング等を決定する一助とすることを目的とした。乳児期に口唇形成術を受けた片側性口唇裂を有する5-9歳の患者を対象に、形態評価として三次元顔面形態計測としてVectra(Canfield Scientific社製)を用いた評価を行い、二次元評価としてセファログラムを用い骨格的評価を行った。また、咬合関係評価(5-Year-Olds’ Index)、機能評価として口唇圧、舌圧、咀嚼能率、鼻咽腔閉鎖機能の測定を行った。現時点で個別評価は終了しているが、それらの関連性について評価する方法について再度検討を行っている。咬合関係が悪化することで、上顎骨がより後方位であり、より悪化するにつれ下顎骨の前方位となる傾向を認め、さらに三次元的には非対称が大きくなる傾向を認めた。このことから、咬合や骨格的な不正と顔面軟組織の不正が関連することが明らかとなる。機能的評価として、舌圧と咀嚼能率に一定の関連を認めるが、口唇圧については関連を認めなかった。バクシネーターメカニズムによって歯列が保たれると考えているが、口唇圧という指標を用いて考えることが難しいことが考えられた。形態的評価と機能的評価の関連性評価を行っている途中のため、関連性の評価を継続し、結果をもとに論文の執筆作業を行う予定である。
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