【研究目的】薬剤関連顎骨壊死は骨粗鬆症治療やがんの骨転移抑制を目的に使用されるビスホスホネート製剤、抗RANKL抗体によって引き起こされると考えられている。いずれも破骨細胞をターゲットとする薬剤であり、これまで様々な研究が行われてきているが、根本的な病態の解明には至っていない。骨組織では骨細胞を中心に骨芽細胞、破骨細胞、破骨細胞の前駆細胞となる単球などの様々な細胞が相互に影響しながら代謝を行っており、薬剤ターゲットの破骨細胞に主眼をおいても病態全容の理解が困難であることが推察される。そのため、本研究では薬剤関連顎骨壊死モデルラットを用いて、骨代謝調節の司令塔である骨細胞を中心に骨代謝関連細胞の動態変化について大局的にアプローチすることで、病態メカニズムを明らかにしようとしている。 【研究成果】薬剤関連顎骨壊死モデルラットとして、5週齢雄性Wistar/STラットにゾレドロン酸を35mg/kg/week、デキサメタゾンを1mg/kg/dayで2週間連続皮下注射したものを使用。薬剤投与終了後に片側の上下顎臼歯を抜去。薬剤関連顎骨壊死様の骨露出ないし、腐骨分離像を呈するが、肉眼的に明らかな病態変化を呈していないものも、徴候的な所見が得られる可能性があり、顎骨壊死群として解析する。抜歯前2週間に生食のみを投与した群をコントロールとして用いる。先行研究から概ね7~8割の個体で腐骨形成を認めるとされているが、先行研究同様の顎骨壊死発生が得られるか、同様のプロトコールでモデルラットの確認を行ったが、顎骨壊死様の病態を示す個体が少なく、当初予定した十分な解析に至らなかった。
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