研究課題/領域番号 |
19K19191
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
酒井 陽 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (80772425)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 幹細胞 / micro RNA / 老化 |
研究実績の概要 |
ヒトの体には不完全ながら修復・再生能力が備わっている。皮膚損傷や骨折などでは、自らの治癒能力を駆使して組織修復を行う。しかしながら失った組織や臓器が修復・再生されることはほとんどない。現在、超高齢者社会において、高齢者の多くは口腔乾燥症状(ドライマウス)を示し、虫歯、細菌感染、嚥下障害さらにはQOLの低下などの口腔乾燥症を引き起こす。現在の口腔乾燥症の治療法は対症的であり、唾液腺機能障害を修復することはできない。唾液を産生する唾液腺には組織を構成する細胞を供給する源となる幹細胞が存在するが、老化に伴い様々な組織に存在する組織幹細胞の機能が低下していることが報告されている。しかしながら、唾液腺幹細胞については不明な点が多く、唾液腺幹細胞と加齢に伴う唾液腺の機能低下との関係については解明されていない。そこで本研究では、内在性唾液腺幹細胞および前駆細胞に着目し、加齢に伴う唾液腺幹細胞の老化機構の解明および幹細胞由来エクソソームによる老化抑制機構を検討し、内在性唾液腺幹細胞および前駆細胞の新たな再生機序を構築することを目的とする。 歯科領域において、難病にも指定されているシェーグレン症候群は自己免疫疾患とされ、慢性化した病態であり修復・再生不可能な組織であるとされる。私たちはこれまでの研究で、損傷した組織で重要な役割を果たすと考えられる幹細胞由来エクソソームに含まれるいくつかのmicro RNA (miRNA)を同定した。それらのmiRNAは組織が損傷していく過程で幹細胞の老化抑制,損傷細胞の生存率促進に関与し、幹細胞の“若返り”に関わっている可能性が考えられる。今年度本研究では、幹細胞由来エクソソームの老化抑制が抑制していることを示した。国際学会でのポスター発表をした。現在は次の段階に入り、メカニズムの解析を進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
老化細胞の老化予防は示されたが、メカニズムの解析が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
①幹細胞由来エクソソームの老化抑制機構の解明、②エクソソームmiRNAが損傷細胞に与える影響の解明、③幹細胞由来エクソソームを用いたシェーグレン症候群モデルマウスに対する損傷組織再生法の開発することを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究はほぼ予定通り実施されているが、コロナの影響で予定していた国際学会に渡米できなかったため。
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