研究課題
放射線治療によって腫瘍の根絶が達成できた症例においても、嚥下機能が低下しQOLが低下する患者を多く経験していることから、放射線治療後の嚥下機能評価のために、VFではなく被爆のないMRIを用いてその評価ができないかと臨床経験での疑問からスタートした。本研究では、超高速MRIを用いた嚥下機能検査時の適切な検査食材と嚥下機能評価に適した受信コイルを開発することを目的とした。本課題の初年度では、嚥下運動に関連する口腔・咽頭領域の軟部組織、特に舌、軟口蓋、喉頭蓋、咽頭側壁の動態を知るために、限りなく撮像時間の短いMRI撮像シーケンスの作成した。2020年度においては、前年度調達したPC環境の整備(以前のPC環境では動画の容量が大きく適正に再生されないなどの不備があった。)、ソフトの運用方法や画像データの加工方法等を検討し環境を整えた。また実際の動画取得に関しては、構築したシーケンスを持ちいて実際にボランティアで動画の撮影をし、シーケンスの再検討や撮像データの蓄積を試みる予定であった。しかしながら、全世界的に猛威を振るった新型コロナウィルスにより、人との接触機会が制限された背景があり、ボランティアの撮像ができなかった。2021年度は引き続き新型コロナウィルスにより人との接触機会が制限されていたため、研究対象となる放射線治療の症例の整理を主に進めた。その結果、症例に関する研究発表を、国際学会の口頭発表にて学術発表をすることができた。さらに今年は作成した撮像シーケンスを用いてボランティアの撮像ができた。また、MRIを開発している複数の企業から、最新のMRIや受信コイルの現状についてディスカッションができたため、臨床の現場ではどういったニーズがあるのか、情報をいただいた。
3: やや遅れている
今年度も引き続き新型コロナウィルスにより、人との接触機会が制限された背景があり、感染対策を万全にした状態でのボランティアの撮像は困難で、数名の撮像のみにとどまった。さらに受信コイルの設計に関して、数社の企業とのディスカッションによってコイル開発に関する知識は増えたものの、次年度に作成が持ち越される。
次年度も積極的にボランティアを撮像して画質の検討することと、画像解析室だけでなくMRI操作室でも画像解析ができる環境を整えたい。、さらに旧型の受信コイルをリバースエンジニアリングの一環で内部構造を確認し、1.5テスラだけでなく3テスラのMRIにも対応できるようなコイルの設計を考えていきたい。そしてその結果を学術発表もしくは論文投稿を目指す。
参加した国際学会はオンライン発表であったため、旅費使用分が残金となったり、謝金対象のボランティアの撮像が遂行できなかったため、繰越し分が発生した。使用計画としては、今年度ボランティア撮影の際、ラップトップ型のPCに解析ソフトを入れて撮影しながらリアルタイムに画像処理をすることで効率が上がることが予想されたため、その環境を整えたい。さらに今後、ボランティアの撮影の中断が余儀なくされることを踏まえて、簡易的なファントムを作成し、撮像の機会を失わないように対策が必要と考えられた。
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