研究課題
本研究では、近年癌治療において大きな着目を浴びている、抗 CTLA-4 抗体などと第三世代がん治療用ウイルスの併用により、これまでよりもウイルス療法単独療法よりさらに強力な抗腫瘍効果が得らえるかを検討ことで、すでに癌治療の一翼を担っている免疫療法との相乗効果を図る画期的なものになると考えた。さらに、これらのウイルスの舌癌に対する安全性試験を行うことで、臨床応用の際に最も重要な安全性の確保を担保できると考えた。野生型ウイルスであるstrainF および東京大学と MTA を交わし提供された T-01 および T-mfIL-12 、T-B7-1の武装型ウイルスを使用し、その抗腫瘍効果および安全性を検証してきた。HSV-1に感受性強いA/Jマウスを使用して舌へ各ウイルスを投与しその安全性実験を行ったところ、いずれのウイルスも極めて高い安全性を示した(strainF投与群が12前後で死亡する10倍の容量でも全例60日以上し、体重減少も来さない)。また、T-B7-1T-mfIL-12 は T-01 よりさらに強い抗癌作用をマウス皮下腫瘍モデル、舌癌モデルで示し、舌への投与後に頚部リンパ節へウイルスが流入することで、DBA/2マウスを用いた新規マウスモデルである、KLN205-MUC1舌癌頚部リンパ節転移モデルにおいて、ウイルスの舌への投与によりコントロールウイルスのT-01に比してより高い抗腫瘍効果を示す傾向があると同時に、免疫チェックポイント阻害剤である抗CTLA-4抗体をそれぞれの群に併用すると、mock群では全例死亡する一方、T-01群では有意に生存期間の延長を来し、さらにT-B7-1投与群では全例エンドポイントまで生存した。このことから、舌癌の頚部リンパ節転移に対して、T-B7-1と抗CTAL-4抗体を併用することは極めて有効な治療法であることが示唆された。
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