口腔癌患者の臨床検体を用いて行った予備実験により、mt-tRANのms2修飾量とT分類、stage分類において統計学的に優位な正の相関を認めていた。口腔扁平上皮癌細胞株SASを用いて実験を行った。siRNAを用いてCDK5RAP1をノックダウンしたところmRNAは約25%まで低下し、それに伴いmt-tRNAのms2修飾が減少しているこ とが確認された。また、ミトコンドリアタンパクであるMTCO1の発現量が低下することがわかった。さらにWST assayを行い腫瘍の増殖能を調べたところ、増殖能の低下が認められた。また、過去に当科で樹立した5-FU耐性SASと親株SASを比較したところ、耐性株において約5倍程度mt-tRNAのms2修飾が増加していた。さらにミトコンドリアの呼吸鎖複合体タンパク質の低下、アポトーシスタンパクであるcaspase-3の増加を認めた。 以上の結果より、mt-tRNAのms2修飾は扁平上皮癌の悪性度、特に抗癌剤耐性に関与している可能性が示唆された。
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