研究課題/領域番号 |
19K19205
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
山形 和彰 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 助教 (40784195)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | エストロゲン / ミクログリア / マクロファージ / アストロサイト / 神経障害性疼痛 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、①神経障害性疼痛に対するエストロゲンの影響を確認すること②神経障害性疼痛の発症に重要な役割を果たす免疫担当細胞に対するエストロゲン作用部位を明らかにすることである。2019年度の研究計画として、動物モデルを作成し、①の解析のため行動学実験を行うこと、②の解析のため三叉神経脊髄路核尾側亜核で活性型ミクログリアの発現動態を、三叉神経節で炎症性マクロファージの発現動態を免疫組織化学染色で検討することを予定していた。 当該年度は行動学実験と免疫組織化学染色の条件設定を行った。動物モデルは卵巣を摘出(OVX)したラットの眼窩下神経を障害することで作成した。行動学実験は神経障害性疼痛を発症したラットに高用量(HE群)または低用量(LE群)のエストロゲンを2日間連続皮下投与し、プラスチックフィラメントによる触刺激からの逃避閾値を観察した。行動実験後、経心臓的に還流固定し、免疫組織化学染色のために三叉神経脊髄路核尾側亜核と三叉神経節を摘出した。行動実験では、これまでの研究結果同様、HE群がLE群に比べ、逃避閾値が有意に低かった。このことからエストロゲンは神経障害性疼痛を増悪させることが示唆された。免疫組織化学染色では、厚さ30μmのスライス切片を作製し、当初予定していたミクログリア、マクロファージに加え、神経障害性疼痛の症状維持に関与することが明らかとなったアストロサイトの発現動態を検討している。当該年度は条件設定を確認し、現在データ集積を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験の進捗が神経障害性疼痛の発症に左右されることや抗体の信頼性の確認、条件設定に時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
顎顔面領域の神経障害性疼痛では三叉神経脊髄路核尾側亜核でのミクログリア発現動態、三叉神経節でのマクロファージ発現動態が重要であることが明らかとなっている。これらに加え、近年、神経障害性疼痛の症状維持にアストロサイトが関与することが明らかとなった。今後はエストロゲンがこれらの免疫担当細胞の発現量動態に及ぼす影響を免疫染色、 ウエスタンブロッティングにより検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
概ね予算を消化したが、端数が残ったため次年度消耗品購入に充てる予定である。
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