経動脈除脳灌流標本は、麻酔薬の影響を排除でき、かつ循環動態を評価できる。既存の脈管系を利用することにより、灌流液を組織の深部にまで流す事が可能なこのモデルでは、従来難しかった新生児期以降の動物の自発呼吸活動を記録することができる。理論上では、脳幹部の組織の酸素分圧は十分あるはずだが、実際の計測値は得られていない。そこで、低酸素状態を正確に評価するため、経動脈除脳灌流標本の脳幹部の組織酸素分圧を測定し、評価を行った。結果として、組織の酸素分圧は十分に高く、標本の状態は十分に酸素化できていた。 呼吸などの自律神経系の発生に関与するPhox2bといわれる転写因子の研究を昭和大学口腔生理学講座で行ってもらっている。研究を重ねるにつれ、現在ではこのPhox2bという転写因子が呼吸のみならず、歯科の分野である咀嚼や唾液分泌に関与している可能性を見出している。そして、学会や研究所へ赴くことでさらなる知識の取得を行い、学会発表(転写因子Phox2bを発現する小細胞性網様体ニューロンの生理学的解析,2019,第13回三叉神経領域の感覚;運動統合機構研究会・小細胞性網様体に存在するPhox2陽性ニューロンの電気生理学的・形態学的解析,2020,第62回歯科基礎医学会学術大会)も行っている。現在は、論文投稿に向け執筆中であり、年内中に投稿予定である。
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