研究課題
舌痛症患者では口腔内の灼熱感という典型的な症状だけでなく、「甘い、しょっぱい、苦い、酸っぱいの違いは分かるが、何を食べていてもおいしくない」など味覚に関する訴えが多く、さらに「食事をしている間は痛みがない」「酸っぱいものやからいもの、熱いもので痛くなる」など疼痛症状と関連した味覚の訴えも散見される。本研究では舌痛症患者における味覚の違和感の有無別に、甘味による疼痛軽減と脳機能との関連を解析することを目的としている。2021年度は昨年度に引き続き舌痛症患者における味覚強度のデータを収集し、分析を進めた。甘味だけでなく、塩味、酸味、苦味に対する味覚閾値を測定し、さらにそれら味覚刺激による口腔内症状の変化を測定した。その結果は日本歯科心身医学会雑誌に投稿、掲載された。また舌痛症では口腔乾燥感や唾液分泌過多感などの不快感の訴えも多く、このような口腔内の不快感を主症状とする患者において撮像されたMagnetic Resonance Imagingを用いてNeurovascular compression (NVC)との関連を解析し、その結果をFrontier in Neurologyに投稿して、掲載された。口腔内の不快な症状には、末梢神経系(Peripheral Nervous System)の関与だけでなく、より上位の中枢神経系(Central Nervous System)のメカニズムが関与している可能性が推察された。現在さらなる脳画像のデータを蓄積しており、今後解析を進めて末梢および中枢神経系と味覚を含めた臨床的症状との関連について研究を進める予定である。
3: やや遅れている
舌痛症患者における味覚と疼痛の主観的感覚についてデータ解析し、その結果を論文化し掲載された。また当初、脳機能画像としてfunctional MRIを予定していたが、研究機関の移動に伴い使用が困難となったため、Single Photon Emission Computed Tomography (SPECT)を用いることを検討し、さらに構造的な脳ネットワークを調べる脳画像として拡散テンソル画像を用いてRetrospectiveに解析することを検討している。現在データ収集を継続し解析を進めている。COVID-19感染拡大防止による初診患者数の減少や、患者自身の受診控えもあり、画像データの収集はやや遅れているが、Retrospectiveに検討することで研究の遂行は可能と考えられる。
COVID-19感染拡大防止による受診患者数への影響は依然としてあるものの、Retrospectiveにデータ収集、解析を行うことで研究の推進は可能と考えられる。2022年度は脳画像のデータ分析、解析方法を経て研究報告会、学会などで発表を行い、考察を深めていく予定である。さらに論文化して国内外の学術誌に投稿する。なお、本年度は昨年度に引き続き、学会がオンラインにて開催されたこともあり関連経費の支出がなかったため、来年度の研究費用として繰り越しして計上している。さらに掲載が予定されている論文への費用も併せて計上した。
研究施設の移動に伴う使用機器の変更により、MRI使用料が発生しなかったため、翌年度研究費用として繰り越し計上されている。また、本年度は昨年度に引き続き、学会がオンラインにて開催されたこともあり関連経費の支出がなかったため、来年度の研究費用として繰り越しして計上している。さらに掲載が予定されている論文への費用も併せて計上した。
すべて 2022 2021 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 6件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (5件)
Frontiers in Psychiatry
巻: - ページ: -
10.3389/fpsyt.2022.863485
歯科放射線
巻: 62 ページ: -
Frontiers in Pain Research
巻: 3 ページ: -
10.3389/fpain.2022.809207
未病と抗老化
巻: 30 ページ: 41-45
日本歯科心身医学会雑誌
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Front Psychiatry
巻: 12 ページ: -
10.3389/fpsyt.2021.701232. eCollection
Front Neurol
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