研究課題/領域番号 |
19K19213
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
山本 泰 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (80459586)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 唾液腺腫瘍 / 遺伝子異常 / FFPE組織 |
研究実績の概要 |
臨床統計学的解析を行い、論文発表した: 2006年4月から2019年3月までの13年間に当科で治療を行った唾液腺腫瘍38症例であった。組織型別に発生頻度をみると,良性腫瘍では多形腺腫が26例(83.9%)と最も多く,ついでWarthin腫瘍4例(12.9%),嚢胞腺腫が1例(3.2%)であった。悪性腫瘍では粘表皮癌が4例(57.1%)と最も多く,腺様嚢胞癌が1例(14.3%),オンコサイト癌が1例(14.3%),多形腺腫由来癌が1例(14.3%)であった。年齢は20歳代から90歳代にわたり幅広く分布し,平均年齢は57.9歳であった。年代別では60歳代が10例(25.6%)で最も多く,次に70歳代が8例(20.5%),40歳代が7例(17.9%)であった。発生部位は口蓋が最も多く15例(39.5%),続いて頬粘膜が10例(26.3%),耳下腺が10例(26.3%),顎下腺が3例(7.9%)であった。良性腫瘍では口蓋が11例(35.5%)で最も多く,次に耳下腺が10例(32.3%),頬粘膜が8例(25.8%),顎下腺が2例(6.5%)の順であった。悪性腫瘍では口蓋が4例(57.1%),頬粘膜が2例(28.6%),顎下腺が1例(14.3%)の順であった。治療法は良性,悪性ともに全症例について手術療法が施行されていた。再発症例は1症例で組織型は多形腺腫であった。術後3か月で再発を認め、追加切除していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年3月までの臨床統計学的解析については終了し、論文発表を行った。さらに研究対象期間を延長して検体を集積している。現在、多形腺腫に関する論文の執筆中である。HE標本にてWHO分類(2017)に準拠して再評価を行い、FFPEブロックの残検体量や保存状態の確認を行いながら免疫組織化学染色を進めているが、残検体が少ない症例もありアレイ解析を行う症例の集積、選定に時間を要している。引き続き症例の集積を行いながら、遺伝子解析を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
・唾液腺腫瘍のFFPE組織を用いて腫瘍をマイクロダイセクションしてマイクロアレイを行い、miRNAの発現を網羅的に検索し、その差異を明らかにする。 ・アレイ解析で得たmiRNAとmRNAをペアリング解析して標的遺伝子を予測する。 ・マーカー候補遺伝子のシークエンシングの後、発現部位を免疫組織化学染色やin situ hybridizationにて唾液腺癌で解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
HE標本の再評価、FFPEブロックの残検体アレイ解析を行う症例の選定に時間を要しているため、予算計上した消耗品の購入に至らなかった。今後、抗体や培養等の各種試薬等の消耗品および実験機器や学会での研究報告に使用予定である。
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