研究課題
唾液腺癌の術前組織診断や転移の検出、予後予測、治療抵抗性に対し新たなバイオマーカーが必要である。本研究は唾液腺癌のFormalin-Fixed Paraffin-Embedded tissue(以下、FFPE)組織をマイクロダイセクションしてマイクロアレイを行い、miRNAを網羅的に解析し、唾液腺癌の分子生物学的特徴を明らかにして、臨床的な予後や病理組織学的所見との関連を探り、新規のバイオマーカーを抽出することで、新規治療標的分子の開発、腫瘍の組織診断や転移の有無などの診断の一助となる診断マーカーを見出すことを目的としている。当科で2006年4月から2019年3月までの13年間に治療を行った唾液腺腫瘍は38症例について臨床統計学的検討を行った。(日大口腔科学、2020)さらに小唾液腺に発生した唾液腺腫瘍に限定して解析を行い、論文発表した。(Open Journal of Stomatology、2022)当院に保管されている多形腺腫130例、腺様嚢胞癌11例、粘表皮癌17例に病理組織学的に分類し、免疫化学組織化学染色を行った。口腔外科臨床における細胞診の有用性について検討し、学会発表を行った(第59回 日本臨床細胞学会秋季大会)。多形腺腫104例を1976年に発表されたG.Seifertらの分類を用いて病理組織学的に分類を行い、学会発表を行った。(第66回 日本口腔外科学会、2021)現在はこの解析について論文を作成中である。また、口蓋に発生した多形腺腫について形態学的な特性を明らかにするため、免疫組織化学染色を行い、検討を行った。(第67回 日本口腔外科学会総会・学術大会)
3: やや遅れている
HE標本にてWHO分類(2017)に準拠して再評価を行い、FFPEブロックの残検体量や保存状態の確認を行いながら免疫組織化学染色を進めたが、アレイ解析を行う症例の選定に時間を要したため。
・アレイ解析で得たmiRNAとmRNAをペアリング解析して標的遺伝子を予測する。・マーカー候補遺伝子のシークエンシングの後、発現部位を免疫組織化学染色やin situ hybridizationにて唾液腺癌で解析する。・アレイ解析が困難であった場合には、対象を症例数の多い多形腺腫に限定し免疫組織化学染色やin situ hybridizationを用いて解析する。
FFPEブロック残件隊のアレイ解析が遅れているのため、予算計上した消耗品の購入に至らなかった。今後、免疫組織化学染色やin situ hybridizationに使用する抗体や培養等の各種試薬等の消耗品の購入や学会発表や、論文投稿での研究結果報告の校正等に使用予定である。
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日大口腔科学
巻: 49 ページ: 61-66
巻: 49 ページ: 55-60
巻: 49 ページ: 35-41
Open Journal of Stomatology
巻: 12 ページ: 363-371
10.4236/ojst.2022.1212033
巻: 48 ページ: 162-166
巻: 48 ページ: 96-100