研究実績の概要 |
超選択的動注化学療法は腫瘍の栄養動脈に直接カテーテルを挿入し、抗癌剤を投与する方法である。少量投与で高濃度の抗癌剤が腫瘍内に取り込まれることから、高い抗腫瘍効果が得られ、さらに副作用が出現しにくい利点がある。腫瘍細胞は、しばしば免疫チェックポイントであるPD-L1 を過剰発現するため、各癌腫 で治療対象として注目されている。しかし、免疫療法は 1型糖尿病など重篤な免疫関連有害事象(irAE)が報告されている。そこで、PD-L1抗体薬であるアテゾリ ズマブを動注療法で、局所に少量投与することで抗腫瘍効果が最大限に得られ、用量を少なくできることからirAEの軽減と医療費の削減にもつながる。今回、基 礎的検討としてマウスを用いて低用量局所投与と静脈 全身投与の抗腫瘍効果およびPD-L1の発現を比較検討している。まず先立って抗PD-1抗体で同様の試験を行った結果、まず細胞株のPD-L1を定量して発現を確認した。続けてC3H/HeNマウスに細胞株を移植し、抗PD-1抗体薬の 局所少量投与群、全身投与群、Control群(PBS)に振り分け、腫瘍縮小率で抗腫瘍効果を比較検討した。 さらに、摘出した組織投与後の皮下で増殖した腫瘍を摘出し,PD-L1, CD8T細胞, Perforin, GranzymeBの発現を比較検討した。その結果、局所少量投与群と全身投与群で同程度の抗腫瘍効果があり,両群ともControl群と有意差(p<0.05)を認め,OSも有意差をもって延長を認めた.また,局所少量投与群で明らかにGranzymeBの発現が多いことが明らかとなった.
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