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2019 年度 実施状況報告書

腫瘍溶解アデノウイルスの効果増強のための試み

研究課題

研究課題/領域番号 19K19221
研究機関北海道大学

研究代表者

アラム M・トウフィック  北海道大学, 歯学研究院, 学術研究員 (60641694)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワードアデノウイルス / 口腔がん / 腫瘍 / 溶解 / エタノール
研究実績の概要

本研究の目的は、口腔がんに対して効果を持つ腫瘍溶解アデノウイルスAd+AUの腫瘍溶解効果が、エタノール処理など、ARE-mRNAをより多く核外輸送するシステムの刺激により増強されるか検討を行うことである。Ad+AU はアデノウイルスのE1A領域の下流にTNF-α遺伝子のARE領域を挿入した新しい腫瘍溶解ウイルスで、ARE-mRNAの核外輸送・安定化に依存して増殖し、ARE-mRNAが安定化している口腔がん細胞で増殖し、最終的には細胞を破壊することができる。本研究ではARE-mRNAをより多く核外輸送するエタノール処理をすることで、Ad+AUの腫瘍溶解効果がより増強されるか検討する。
本年度は、エタノールの最適条件を確立し、Ad+AUの活性に対するとエタノールの効果をin vitroで検討した。HSC2、HSC3、HSC4、Ca9.22、SAS等の口腔がん培養細胞をエタノール処理し、エタノールがHuR の核外輸送を活性化するか検討し、細胞質に存在するHuRが最も多い条件を確立した。その結果、0.3%の濃度エタノールが最適であることが明らかになった。また、その条件で、Ad+AUの口腔がんに対する腫瘍溶解効果、即ち増殖ウイルス数を確定し、XTT assayにより細胞死を検討した。その結果、エタノール添加によりウイルス増殖効率が上がり、さらに、Ad+AUによる細胞死も活性化された。
以上の結果より、エタノールによりAd+AUの腫瘍溶解活性が上がることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、我々が開発したAd+AUの口腔がんに対するエタノールとの併用効果をin vitroで解析した。その結果、エタノールによりAd+AUの増殖効率、細胞死活性がともに上昇した。これらの研究は、当初の研究計画に即して行われ、ほぼその計画通りに結果が出せた。従って、おおむね順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

2020年度は、腫瘍溶解アデノウイルスAd+AUの効果を以下のように解析する。
1.既存の腫瘍溶解ウイルスとの比較
既存の腫瘍溶解アデノウイルスONYX-015(中国ではこのONYX-015(中国名H101)が実際に臨床に使われている)とAd+AU+エタノールでどちらがその効果が増強されるか、上述と同様に検討する。
2.動物実験
ヌードマウスに口腔がん細胞の腫瘍を作成し、Ad+AUとエタノールを投与し、腫瘍溶解効果の増強をin vivoで検討する。

次年度使用額が生じた理由

現在、腫瘍溶解ウイルスとエタノールとの併用を動物実験で行うことを計画しており、次年度に動物実験のため経費がかかることが予測されるため、消耗品のグレードを下げるなど経費を削減し、次年度使用額が生じた。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Oncolytic potential of an E4-deficient adenovirus that can recognize the stabilization of AU-rich element containing mRNA in cancer cells.2019

    • 著者名/発表者名
      Fumihiro Higashino, Aya Yanagawa-Matsuda, Mohammad Towfik-Alam, Tetsuya Kitamura
    • 学会等名
      第25回日本遺伝子細胞治療学会学術集会

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公開日: 2022-12-28  

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