研究課題/領域番号 |
19K19225
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
佐藤 友里恵 (山田友里恵) 新潟大学, 医歯学系, 助教 (20804537)
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研究期間 (年度) |
2021-11-01 – 2024-03-31
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キーワード | 神経再生 / 末梢神経 / 血管 / Hedgehogシグナル / Gli1 |
研究実績の概要 |
海外における研究滞在等による研究中断を8月より再開した。初年度で発見した末梢神経内のGli1陽性細胞の詳細について解析を行った。まず末梢神経内のGli1陽性細胞の分布を分析したところ、神経周膜(42.5%±13.2%)、神経内膜(35.6%±9.5%)、血管周囲(21.9%±4.1%)の3箇所に存在することが分かった。また、それぞれ発現している細胞マーカーが異なっており、これら3種の細胞は同一の細胞ではないことが示唆された。初年度の実験で、Gli1陽性細胞は神経損傷後早期に損傷神経両断端から損傷部に向かって遊走し、神経両断端をつなぐnerve bridgeを形成していることを発見した。そこで、神経損傷部のGli1陽性細胞が、周膜、内膜、血管周囲のいずれから集まってきているのかを調べたところ、血管周囲のGli1陽性細胞が増殖し、細胞形態を変化させていた。神経損傷後のGli1陽性細胞の発現している細胞マーカーを確認したところ、神経損傷前のマーカーと異なっており、神経損傷を契機にGli1陽性細胞がキャラクターを変化させたことが示唆された。 末梢神経再生の後期、すなわち軸索再生、髄鞘化以降には神経周膜の再生が起こる。Gli1陽性細胞特異的にHedgehogシグナルを不活化したマウス( Gli1creER;R26RYFP;Smofl/flマウス、以下Smo cKOマウス)の神経損傷30日後の神経周膜の再生を観察したところ、Smo cKOマウスでは神経周膜の再形成が認められなかった。さらに、内膜のGli1陽性細胞が少数のaxon-Schwann cell unitを束ねるように筒状の形態を示していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画立案当初の実験計画に即した実験を行うことができたため。Gli1陽性細胞の分布、および神経損傷前後の発現細胞マーカーを同定することができ、今後の実験の基盤を確立できたため。
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今後の研究の推進方策 |
Gli1陽性細胞のさらに詳細な解析を進める。正常神経、損傷神経のシングルセルRNAseqのパブリックデータを解析し、損傷神経におけるGli1陽性細胞に高発現している遺伝子を特定する。その遺伝子をGli1陽性細胞特異的にノックアウトしたマウスを作製し、神経損傷モデルに供する。同マウスの神経を神経再生の各ステージでサンプリングし、形態学・生化学・分子生物学的解析を行い、Gli1陽性細胞の神経再生における役割を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年8月まで、海外における研究滞在等により研究中断をしていた。また、2022年12月から2023年2月まで産育休を取得しており、その間はコンピューターを用いた解析が主となっており、物品費が掛からなかったため。産育休間に止まっていたwet実験を次年度に行う際に物品費として使用する予定である。
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