顎変形症に対する外科的矯正手術後の下顎頭吸収に対する予防法・治療法の検討のため、下顎骨延長モデルに間葉系幹細胞の培養上清(MSC-CM)を投与する実験を行った。 ラット間葉系幹細胞(MSC)は採取したラット大腿骨の骨髄に細胞培養液を還流させて採取した。細胞培養し紡錘状の形態をした細胞を採取しMSCとした。MSCを48時間培養し、上清を採取してMSC-CMとした。上清には、MSC-CMには、ALP、Runx2、Sox-9、Vegfなど、骨分化に関連するRNA発現を確認した。 下顎骨延長モデルラットは10週齢で延長装置の装着術を実施し、その後10日間かけて下顎骨の右側を3.5mm延長し下顎頭に負荷をかけた。延長を行う10日間に、MSC-CMは5日ごとに合計3回、尾静脈より投与を行った。対照として細胞培養液のみ投与した群と、投与を行わない群も実験を行った。 それぞれの群で下顎頭の骨の吸収や添加が生じ、形態変化を認めた。MSC-CMを投与した群は下顎骨延長術前と比較して下顎頭のTotal Bone VolumeやBone Mineral Densityが上昇していた。ほかの対照群は逆に低下を示していた。 上記の実験よりMSC-CMが下顎頭吸収を防ぐ効果がある可能性を示した。MSC-CMの血管新生や軟骨細胞への影響が関連していると考えるが、MSC-CMには様々な効果があるとされているので今後さらなる研究が必要である。
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