研究課題/領域番号 |
19K19236
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
松下 祐樹 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 客員研究員 (00713827)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 軟骨原基 / 傍軟骨膜 / 骨髄間質細胞 / 細胞系譜追跡 / シングルセル解析 |
研究実績の概要 |
骨髄間質細胞は胎生期の軟骨原基やその周囲の傍軟骨膜の細胞に由来すると言われているが、異なる発生起源を持つ骨髄間質細胞が、生体骨髄においてどのような機能的な違いを持つかに関しての詳細は未だ明らかにされていない。また骨髄間質細胞は多様な細胞集団であると考えられるが、不均質性の詳細に踏み込んだ報告はない。このような学術的「問い」から以下の研究を行った。 1)軟骨原基標識CreERマウス、傍軟骨膜標識CreERマウスの作出。 上記マウスにtdTomatoレポーターマウスを掛け合わせて、タモキシフェン誘導による軟骨原基細胞と傍軟骨膜細胞の細胞系譜追跡を行った。タモキシフェン投与時期(E10.5、E12.5、E14.5)、組織解析時期(E11.5、E13.5、E15.5、E18.5、P0、P7、P21、P90)を決め、軟骨原基細胞と傍軟骨膜細胞の挙動を詳細に解析した。その結果、タモキシフェンE12.5投与により、これら2種類のマウスは互いにほぼ完全に異なる発現パターンを示し、さらに系譜追跡によって成体における骨髄間質細胞の分布も異なることが明らかとなった。 2)軟骨原基細胞と傍軟骨膜細胞の骨髄間質細胞への貢献。 前述の1)の実験により胎生期の軟骨原基細胞と傍軟骨膜細胞がともに成体の骨髄間質細胞に寄与することが明らかとなったため、細胞起源の違いによる骨髄間質細胞の占有率をフローサイトメトリーにて解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通り順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度の研究成果により、軟骨原基細胞と傍軟骨膜細胞の時期特異的な細胞系譜を詳細に明らかにすることができた。2020年度は由来の異なる骨髄間質細胞の成体における機能の違いを明らかにしていく。具体的には胎生期軟骨原基細胞と傍軟骨膜細胞由来の成体骨髄間質細胞をそれぞれセルソーティングにより採取して、bulk RNA-seqとシングルセルRNA-seqを行うことで、起源の異なる骨髄間質細胞の多様性、トランスクリプトームの違いを明らかにする。さらに、tdTomatoで標識された成体マウスに対して、骨折や、骨形成促進薬を投与することにより、これらの骨髄間質細胞がどのように再生骨や誘導された骨に寄与するのかを解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ当初の計画通りに資金管理を行うことができた。予想以上に研究が順調に進んだため、マウスのロスを少なくすることができ次年度使用が生じたが、2020年度のシークエンス使用料の一部や抗体購入に使用する予定である。
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