骨髄間質細胞は胎生期の軟骨原基やその周囲の傍軟骨膜の細胞に由来すると言われているが、異なる発生起源を持つ間質細胞が、生体骨髄においてどのような機能的な違いを持つかに関しての詳細は明らかにされていない。また骨髄間質細胞は多様な細胞集団であると考えられるが、不均質性の詳細に踏み込んだ報告はない。このような学術的「問い」から以下の研究を行った。 1)軟骨原基細胞と傍軟骨膜細胞の成体骨髄間質細胞への分化過程、機能を詳細に解析した。タモキシフェンを軟骨原基細胞もしくは傍軟骨膜細胞を特異的に標識するマウスに対してE12.5で投与し、P21において異なる分布を示す軟骨原基細胞由来と傍軟骨膜細胞由来の骨髄間質細胞をそれぞれセルソーティングにより採取して、bulk RNA-seqとシングルセルRNA-seqを行い、起源の異なる骨髄間質細胞の多様性、トランスクリプトームの違いを明らかにした。 2)上記のP21マウスに対して骨髄間質細胞の分布の違いによる骨再生能を明らかにするために骨髄アブレーションを行った。またそれぞれのマウスに骨形成促進薬であるPTHを投与し、起源の異なる骨髄間質細胞のPTHに対する反応を解析した。 3)軟骨原基細胞と傍軟骨膜細胞が成体骨髄間質細胞に分化する過程で重要なシグナル経路としてヘッジホッグシグナル経路を見つけ出し、コンディショナルノックアウトを作出し、軟骨原基細胞と傍軟骨膜細胞におけるヘッジホッグシグナルの活性化による表現型を解析し、骨発生過程でのヘッジホッグシグナルの役割を詳細に解明した。
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