研究課題
悪性黒色腫はメラノサイトから発生する悪性度が非常に高い悪性腫瘍である。高い増殖能と浸潤能が特徴であり肺などへの遠隔転移も多い。口腔粘膜に発生する悪性黒色腫は皮膚のものと比べて予後不良とされるが、発生頻度が低く、研究があまり進んでいない。申請者らはこれまでに悪性黒色腫患者の検体においてメラノサイトの悪性転化と悪性度亢進に伴い転写コファクターTLE3の発現量が上昇し、TLE3は悪性黒色腫細胞の増殖を促進することを明らかにした。また、TLE3の発現が高い悪性黒色腫の患者では発現量が低い患者に比べて死亡率が上昇していた。そのため本研究では悪性黒色腫の増殖・浸潤などを評価する。TLE3の役割にヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)が関与するかどうかを明らかにすることで、現在悪性黒色腫治療の新たな治療薬として注目されてHDAC阻害剤の作用機序に新たな分子基盤を与えること目的としている。まずTLE3を過剰発現させた悪性黒色腫細胞では細胞増殖能が亢進していた。その時、CyclinD1などの細胞周期関連因子の発現量も増加していた。逆に、内在性のTLE3をノックダウンした細胞では細胞増殖能が低下していた。HDAC阻害剤を用いた実験から、TLE3の細胞増殖促進作用にはHDACが関与することも明らかとなった。次にヌードマウスの背部皮下に腫瘍細胞をインジェクションすると、TLE3を過剰発現した細胞の方が、コントロール細胞に比べて大きな腫瘍を形成することがわかった。
1: 当初の計画以上に進展している
培養細胞実験ならびにTLE3過剰発現細胞の移植実験が既に終了しているため。
TLE3をノックダウンした悪性黒色腫細胞をマウスにインジェクションし効果を同定する。その後論文としてまとめあげ、今年度中のアクセプトを目指す。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)
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