免疫チェックポイント阻害剤の登場により,近年メラノーマの治療成績が著しく向上してきた.しかし,これら薬剤が全く無効である症例も少なくなく,さらに間質性肺炎や大腸炎などの免疫関連有害事象をもたらすこともわかってきた.そのため,メラノーマの病態を正確に理解し,新たな治療法を確立する必要性は依然として残っている.HDAC阻害剤はメラノーマの新しい治療薬として注目されている.本課題ではHDACを誘導し転写コファクターとして作用するTLE3がメラノーマの増殖を制御するメカニズムを明らかにしたものであり,HDAC阻害剤を利用したメラノーマの治療に新たなエビデンスを与えることができる研究であったと考える.
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