研究課題/領域番号 |
19K19249
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
片桐 恵子 (森本恵子) 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (80779281)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | バソプレシン / メピバカイン / アドレナリン |
研究実績の概要 |
フェリプレシンの母体化合物であるバソプレシンを局所投与した場合の末梢血管に対する作用は未解明である。本研究の目的は、バソプレシン添加によって局所麻酔薬の効果増強と作用時間延長効果が得られる可能性を検討するため、バソプレシン添加メピバカイン塩酸塩を局所投与した際の(1)末梢血管血流量(2)組織内動態(3)麻酔効果に及ぼす作用を明らかにすることであった。非接触型のプローブを用いて組織血流量を測定した結果、0.03 U/mL以上のバソプレシンは濃度依存的に末梢血管血流量を有意に低下させ、メピバカインの組織への局在性を高めた。尾部組織と血清におけるメピバカイン濃度の測定により組織内動態を検討した結果、バソプレシンは濃度依存的にメピバカインの尾部組織における局在を延長させることが明らかとなった。またアドレナリンと同程度の効果を示したのは3.0 U/mLバソプレシンであった。麻酔効果に及ぼす作用を検討するため複合神経活動電位を測定した結果、0.3 U/mLのバソプレシンの添加は麻酔効果を有意に延長させた。本研究結果より、0.03 U/mL以上のバソプレシンを局所投与すると局所血流量が低下すること、バソプレシンは濃度依存的にメピバカインの尾部組織における局在を延長させること、0.3 U/mLバソプレシンの添加によってメピバカインの麻酔効果が増強し、作用時間も延長することが明らかとなった。したがって、バソプレシンは局所麻酔薬に添加する血管収縮薬として有用である可能性が示唆された。得られた結果はバソプレシン添加局所麻酔薬の有用性を明らかにし循環器疾患患者に対する安全性の高い歯科用局所麻酔薬開発の礎となると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
想定していた以上に実験方法の確立が順調であり、結果が得られたため計画していた内容は今年度で全て終えることができた。これは血流量の測定と放射性同位元素を用いた実験がこれまでに当講座で行ってきた実験手技であったため早く習得することができたためだと考えられた。また検討するバソプレシンの濃度を各論文を参考にして早めに決定したことも一因であったと考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
育児のため今年度で退職するため、研究は終了とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していたより順調に手技の確立が行えたこと、海外での学会発表が無かったことなどが理由として考えられた。 次年度は退職のため使用計画はない。
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