顎矯正手術による上気道の形態変化と鼻腔呼吸機能の変化が注目されている。特に鼻咽腔狭窄については、上下顎の変化が複雑に影響し合うため、睡眠・呼吸機能に大きな影響を与える可能性があるが、機能的評価は不十分である。そこで、狭窄により呼吸機能が悪化し気道抵抗が大きくなる可能性のある、上顎後上方移動を伴う手術の影響について、計算流体力学を用いて解析した。結果、術前に比べ術後の圧力損失は減少した。また咽頭部に関して断面積については変化率が1に近いものの圧力損失が小さかった。従って現行の手術方法は、機能面においても妥当な手術計画であると考えられ、望ましい気道形状に関しても流体力学的観点から知見が得られた。
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